研究課題/領域番号 |
26380130
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
李 芝妍 東洋大学, 法学部, 准教授 (10439333)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生命保険買取 / 証券化商品 / 生命保険の流動化 / 悪意的投資買取 |
研究実績の概要 |
社会の変化に応じながら多様化する保険商品に内在する法的問題をその本質から再考察するために、生命保険契約の流動化をめぐるアメリカの議論を中心に資料収集を行った。生命保険契約の本質と仕組みについての検討は最終年度に比較研究を行う予定である。そして、日本で生命保険契約の買取契約をめぐる問題を検討する中、保険契約者の変更について研究したのは、日本保険学会の関東部会で報告した後、保険学雑誌に研究成果を論文として公表しているので、最終年度にその内容を合わせて比較研究ができるように研究を進めている。昨年度はアメリカを中心として財産的側面から生命保険契約を活用している類型について資料収集と分析を行った。アメリカの生命保険買取は末期患者の余命を測定して事業化したのがその始まりであったが、その後、買取対象を徐々に拡大していたので、最近は慢性疾病患者だけでなく長期療養が必要である看病患者、高齢者の生命保険も買い取るなど、その市場は著しく変化している状況であることが分かった。そして、生命保険契約を締結する際、既に第三者に売却する意図で生命保険契約を締結する悪意的投資買取(Stranger-originated Life Insurance : STOLI)の問題点についても再認識するようになった。2014年度に収集したアメリカを中心とする文献と判例は引き続き分析・考察しているので、その結果は東洋法学に掲載する予定である。生命保険契約の本質と仕組みについては「日本民法(債権関係)の改正動向と保険契約」法学論叢第31集2号25~36頁(平成26年6月)でその成果の一部を発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生命保険契約の本質と仕組みをめぐる研究はほぼ終了しているので、順調に進んでいる。しかし、アメリカの現地調査を2015年2月に行ったため、その実態調査による資料分析が残されている状況である。 平成26年度は韓国の先行研究者、保険会社、保険研究所を訪問してヒアリングを行ったので、そこで得られた知見を反映しながら、今後の研究を続いていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はイギリスを対象地域として、イギリス保険制度を理解するための文献収集と分析を行う予定である。具体的には、イギリスの先行研究やWeb資料などを活用しながら、10日間程度の現地調査を実施する予定である。 生命保険の流動化のある側面としては、Life Settlement Securitizationと呼ばれる生命保険証書(Insurance Policy)の証券化で表れることもあるので、なるべく証券化をめぐる法的研究も進めて行く。そして、高齢者の医療費と生活資金を確保するための対策について実態調査と分析を行っていく。
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