本研究においては、わが国の商法に定められた商行為法の諸規定について、その歴史的な淵源を探るとともに、現在の経済・社会状況においてどのような意味を持ちうるのか、持ちえないとすればどのようにこれを改めていくべきか、検討を行ってきた。特に重点的に検討対象としたのは、運送法、海商法の分野である。それは、わが国においてこの数年にわたり、当該分野における法の改正作業が進められてきたからである。その結果、実際の研究は、現在の商行為法には規定の存在しない、荷送人の危険物に関する告知義務、定期傭船契約、あるいは海上運送状等に及ぶことになり、これらを立法することの意義について明らかにすることとなった。
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