本研究は、株主代表訴訟に関して株主が行う情報収集について、わが国と米国の株主閲覧権をめぐる制度や裁判例を比較検討し、特に取締役会議事録や会社の内部資料に関する株主の情報収集について具体例が少ないわが国の制度への示唆を得ることを目的とする。本研究では、米国法の閲覧権行使の重要な要件である「正当目的」の内容と、正当目的の立証の範囲の問題を検討し、さらに「株主の情報収集の必要性と会社の秘密保持の要請とのバランスをどうとるのか」という問題意識から、米国デラウェア州の弁護士依頼者間通信秘匿特権の裁判例を参考に、どのような文書であれば開示や閲覧が認められるのかを検討し、わが国が参考にできる点を示した。
|