商法・会社法は、一連の組織再編関係の制度創設(合併、会社分割、株式交換・株式移転)や再編方法の進化を図ることで、企業集団・グループ会社の創設、そして一体として経営のしやすさを提供してきた 。そこで、本稿では、企業の持株会社化により、外部の利害関係者、特に株主から如何なる評価を得ているのか明らかにしたものである 。すなわち、市場における持株会社化の公表による影響を測定した。検証においては、昨今のファイナンスや会計分野の研究で用いられるイベントスタディ法を適用し、定量的な観点から検証を試みた。また、企業価値創造の経営を評価するうえでも、ステーク・ホールダーを強く意識したものと考えられる。例えばROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)の業績指標についても、持株会社化による影響について実証をおこなったものである。 持株会社化による企業価値の分析では、持株会社化により、企業が市場での価値を確実に高め創造できていることが確認された。また、短期的ではないものの、中長期的には業績(経営効率)の上昇傾向がみられた。これは、企業が持株会社化などを利用し、グループとして経営の効率化を進めることで業績に繋がり、その結果が企業価値創出の源泉となっていると考えられる。また、企業が再編をしていく過程で、状況に応じて様々な選択がある中で、持株会社化だけで見ても、手法による価値創造の違いも明らかとなった。企業再編における企業活動の選択は、企業の強みを活かした経営が求められ、その結果が市場においても評価されるものであった。
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