研究課題/領域番号 |
26380145
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
潮海 久雄 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80304567)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 競争法 / 標識法 / 商標機能論 / 一般条項 / 一般的制限条項 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、商標法を競争法(独占禁止法、不正競争法)の観点から検討するものであるが、不正競争法内での標識の保護との比較対象である営業秘密の保護(および国際私法の問題)、および、商標法の比較対象となる創作法の2つの領域(特許法と著作権法)において、競争法の視点から考察した。さらに、工業所有権法学会において、知的財産の帰属に関して横断的考察(職務発明、職務著作、職務標識、営業秘密)について報告した。 業績の1つ目は、知的財産の帰属に関する横断的考察を、各知的財産法の保護の対象、および、国際私法の視点からも、多角的に検討した(原稿は脱稿済みである)。本課題との関係では、職務標識と職務著作のバランスからも創作者の報酬請求は認められないことを指摘した。 2つ目は、標準必須特許権の行使で問題となった権利濫用法理と、本研究課題の一つである商標権の権利濫用法理を、競争法の市場概念から、比較検討し、後者の商標権の考え方が導入されたものに近いことを論証し、特許権の特許権の行使の前段階の行為を規制すべきことと、特許法・独占禁止法の限界を指摘した。 3つ目は、国際私法(準拠法)における一般条項の必要性がどこにあるかを、営業秘密の保護に関する国際私法上の問題の検討をとおして明らかにした。本研究との関係では、同じ不正競争法内における準拠法決定(性質決定)において、標識保護類型と、営業秘密の保護類型の異同を明らかにした。 4つ目は、著作権法の教科書において著作権の制限と著作権の侵害主体について執筆し、また、著作権法の一般的制限条項(フェアユース規定)の意義に関する研究を現在おこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
知的財産法と競争法の関係を、創作法と標識法(商標法・不正競争防止法)に分けて考え、また、不正競争防止法において標識とそれ以外を対比するという、研究指針を立てることができたため。また、主に商標法について欧州の研究調査をおこない、新たな課題を見つけることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
商標法についてアメリカ法も研究調査の対象とするとともに、具体的問題について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に海外調査研究を当初計画予定より1回多くする必要性が生じたことから、当初今年度支出予定の、文献・書籍費については、学内の研究費と自己負担でまかなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
欧州とアメリカの商標法について海外調査研究をおこなう。
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