研究課題/領域番号 |
26380146
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
小谷 眞男 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30234777)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | リベラルアーツ / 法学教育 / 市民社会 / イタリア法文化 / サイエンス・カフェ |
研究実績の概要 |
2015年5月の世界法社会学会ブラジル大会に参加し、「法学教育」というセッションにて、日本におけるリベラルアーツ法学教育に関する研究と実践の報告を英語でおこなった。世界各国から集まった同セッション参加者たちの報告や互いの議論を通じて、市民社会のためのリベラルアーツ法学教育の方法論や実践例について、国際比較的な見地から、有益な示唆や助言を得ることができた。また、2016年3月にはハワイ大学マノア校を訪問し、学部レベル法学教育の分野で著名なJ.Goldberg-Hiller教授らと意見交換をおこなうなどして、ロースクールとは一線を画すアメリカにおけるリベラルアーツ法学教育の動向を瞥見した。なお、文部科学省と日本学術会議の求めもあり、2016年3月に文部科学省情報ひろばラウンジで実施された「サイエンス・カフェ」にて、「イタリア震災裁判が投げかける問い:災害リスクと科学者の社会的責務」と題して、イタリアの震災リスクに関する裁判事例が有する社会的意義について問題提起をおこない、科学・科学技術と法の関係について参加した一般市民らと議論した。 具体的研究成果としては、イタリアの震災リスク裁判に関する複数の論考(イタリアで出版された書籍に本文を日本語で要約をイタリア語で書いた研究論文を掲載。また、国内雑誌に掲載された共著論文の一部分を担当)、C.ベッカリーアの『犯罪と刑罰』(1764)にみる〈イタリア市民社会論〉の可能性を検討した論考(『市民社会論』所収)、その他を公表した。また、「助産学講座」の一部に、現代日本の家族法の仕組みと課題に関する原稿を執筆したのも、より良き市民社会を目指す法学教育の一環という意味を有する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際学会で報告をおこない、世界各国から集まった研究者と、研究テーマについて議論をおこなうことができ、研究の方向性や方法論について有益な示唆を得ることができた。海外の法学教育の実践例の調査をおこない、担当教員と意見交換をおこなった。また、関連するいくつかの研究成果の公表や、社会的還元活動をおこなった。以上の活動から、研究課題はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究活動によって、研究テーマに関する知見や考察を一層深めることができた。今後は、外国語のものを含めて関連文献資料の一層の探索、分析、批判をおこない、また海外(とくにヨーロッパ)における法学教育の実践例をさらに調査するなどして、研究課題の完成を目指して作業を進める。その成果を、国内外の学会発表ないしは論文・書籍などの形で発表し、共通の問題関心を有する研究者らと意見交換をさらに深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の国際学会参加費用に充当する予定だった費用のうちの一部(往復航空券など)が、学内の予算措置によってまかなわれることになったため、予定外の剰余が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
関連する文献資料や必要な事務機器の購入のほか、ヨーロッパ方面の現地調査・資料収集費用に使用する予定である。
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