研究課題/領域番号 |
26380149
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
宗田 貴行 獨協大学, 法学部, 准教授 (60368595)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 消費者団体訴訟 / 独占禁止法 / 集団的被害救済 / 差止請求 / 競争制限禁止法 |
研究実績の概要 |
ドイツにおける集団的被害救済制度についての調査研究を行った。 具体的には、第一に、カルテル庁の利益返還命令制度の調査研究である。昨年度の連邦カルテル庁へのヒアリング調査を踏まえ、その後の研究を加えて、獨協法学に2号続けて(96号及び97号)連載で論文を掲載した。従来、カルテル庁の行政処分に基づき利益返還を命じることは不可能と考えられてきたが、判例及び立法により、違反行為により生じ現存する違法状態を排除するために利益の返還が唯一の方法である場合には、利益返還を命じることが可能であることとされたことを明らかにした。我が国についても、同様に公取委の排除措置命令に基づき利益返還命令が可能であるとの見解を提示した。 第二に、妨害排除請求権に基づく金銭支払請求についての調査研究である。判例および学説の整理・分析を行い、上記の連載論文においてこちらについても検討を行った。すなわち、従来、妨害排除請求権に基づく金銭支払請求の可否は論じられてこなかったが、違反行為により生じ現存する妨害状態の排除のために金銭の支払いが唯一の手段である場合には、金銭の支払いを同請求権に基づき求めうることを明らかにした。我が国でも、同様に、妨害排除請求権に基づく金銭支払請求が可能であるとの見解を提示した。 第三に、国際的な集団的消費者被害救済の研究を行った。カルテル等の外国独禁法違反によって被害を受けた消費者が、損害賠償請求訴訟を内国で提起した場合、外国独禁法を内国民事訴訟の裁判所で適用することの可否についてである。すでに議論が進行しているドイツの学説・判例を紹介検討し、ユルゲン・バーゼドー教授(マックスプランク研究所)に2015年8月にヒアリング調査をした。この成果を日本国際経済法学会(2015年11月29日早稲田大学)大会において学会報告した。 上記の研究を基に、さらなる調査・研究を行っているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、ドイツでのバーゼドー教授へのヒアリング調査及び現地での資料収集を順調に行うことができたことである。 第二に、本課題としてすでに公表している論文だけではなく、その後の研究を加えると、さらなる成果が得られることが予想できる。 これらに鑑み、研究の目的は、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題の一つとして、特に強調すべきであるのは、近時の改正によりドイツ競争制限禁止法に導入された利益返還命令制度に関し、立法に関係した専門家へのヒアリング調査等を踏まえ、さらなる研究を行うことである。このためには、今後、研究の促進方策として、現地調査をより一層行うとともに、資料収集を丁寧に行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツでの取材が先方の都合によりその日程を平成28年度としたことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
ドイツでのさらなる取材及び資料収集を行うことである。
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