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2015 年度 実施状況報告書

成熟社会における信託活用に向けた信託制度改革

研究課題

研究課題/領域番号 26380154
研究機関南山大学

研究代表者

佐藤 勤  南山大学, 法学部, 教授 (50513587)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード信託 / 開示制度 / 福祉型信託 / 信託受益権の性質 / 受託者の裁量権
研究実績の概要

実務家(平成27年4月16日)および研究者・弁護士・実務家(平成27年7月18日)に対し、平成26年度に公表した論文「指図権者等が関与する信託における受託者等の権限および義務」の内容を報告し、意見交換を行った。
また、「復興」および「インフラ整備」における信託の利活用の問題については、実務家との意見交換で、金融商品取引法の開示規制がインフラファンドの組成等の阻害要因となっているとの指摘を受けたことから、金融商品取引法の信託受益権の「開示制度」を、その立法経緯から詳細な調査を行い、どのような問題があるのか、検討を行った。その調査・検討内容については、公益財団法人トラスト未来フォーラムの研究会で報告を行い、研究者や実務家と意見交換を行った。その研究会での意見交換によって得られた知見を含め、信託の受益権に関する金融商品取引法の開示規制の内容およびその問題点ならびに改善策について、論文「信託の受益権等の発行開示および流通開示に関する規制」を、平成27年11月に公表した。
さらに、「高齢化社会」における信託の利活用については、アメリカの研究者からアメリカの福祉型信託の事例に関する報告を受けた。その報告によって得られた情報を基盤に、アメリカでの福祉型信託の発展の歴史、種類、法律上の課題・特色、実務運営等について、文献等により、詳細な調査を行った。その調査の結果、我が国の福祉型信託で検討すべき課題として、浪費者条項の有効性、受益者における倒産隔離の可否、受託者の裁量権の範囲、業者規制、開示規制の四つの問題が今後の検討課題として明らかになった。なお、この調査内容については、研究者・弁護士・実務家(平成28年3月26日)の参加する研究会で、報告を行い、意見交換を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実務家の意見、研究者の意見など、信託の研究・実務に携わる幅広い実務家や研究者に途中経過ではあるが、研究内容を公表し、意見を求めることができた点では、研究は予定通り進捗している。
多くの文献、情報の入手が完了したことから、当初予定していた内容の理論的分析は順調である。なお、新たな論点・視点からの分析・調査は今後も行う必要がある。
平成27年度は、学内公務、体調および海外事情の問題から、海外調査が行えなかった。この点で、計画よりやや研究の遅れがあると考えている。

今後の研究の推進方策

次の2点について、研究を深める。
第一に、信託の受益権の開示制度については、現行制度の大枠は維持し、しかしながら、現行の開示制度を信託の利用の阻害とならないよう、親和性を持たせるには、開示制度をどのような修正・補正すべきかについて、検討を進める。
第二に、福祉型信託については、明らかになった四つの問題点のうち、信託法に関連する部分である、浪費者条項の有効性、受益者における倒産隔離の可否、および受託者の裁量権の範囲について、倒産関連法など、関連法令を含め、研究を進める。また、業者規制、開示規制については、金融商品取引法の信託関連規制全般に、信託の受益権の開示制度に関する研究の範囲を広げて、調査・検討を進める。

次年度使用額が生じた理由

平成26年12月に手術を行い、その後2月中旬頃まで、自宅療養を行っていた。その後も、病状の経過観察のため、定期的(月1回程度)に通院・検査を行っていたため、海外調査等を行うことができなかった。
また、学内公務が多忙であったため、長期の出張を行う時間を取ることができなかった。

次年度使用額の使用計画

翌年度分として請求した助成金は、当初計画通り利用し、翌年度使用額として繰り越された金額相当額については、平成27年度に実施予定であった海外調査の費用に充当する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 信託の受益権等の発行開示および流通開示に関する規制2015

    • 著者名/発表者名
      佐藤 勤
    • 雑誌名

      南山法学

      巻: 39 ページ: 1-69

    • 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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