研究課題/領域番号 |
26380155
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 教授 (70295731)
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研究分担者 |
金子 宏直 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (00293077)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ソフトウェア取引 / ライセンス契約 / 契約の成立 / 品質保証 / 情報提供義務 / 不実表示 / 信義則 / 民法(債権関係)改正 |
研究実績の概要 |
本年度は、米国におけるソフトウェア契約について、2009年にアメリカ法律協会(American Law Institute、以下、ALI)が承認した Principles of the Law of Software Contracts(以下、ALIソフトウェア契約法原則) について検討した。主に、適用範囲、契約の成立、契約条項の開示、強制可能な契約条項、契約条項の変更、 明示の保証の成立と排除および制限、譲渡人が認識しない重大な隠れた瑕疵がないことの黙示の保証に関する問題を取り上げて検討し、論文を公表した。 ソフトウェア、ハードウエア及びデジタル・コンテンツを含むいわゆるコンピュータ情報取引 に関する法としては、全米統一州法委員会議(National Conference of Commissioners Uniform State Law、以下、NCCUSL)の起草した統一コンピュータ情報取引法(Uniform Computer Information Transaction Act、以下、UCITA)が存在しており、1999年に採択され、その後2001年、2002年に改正がなされている。しかしながらUCITAはソフトウェア産業の側に有利な規制であると批判され、UCITAを採択した州はヴァージニア州とメリーランド州の二州にとどまり、NCCUSLも州での採択促進活動を断念するに至っている 。とはいえ、この法はコンピュータ情報取引における重要論点についての議論を深めることに貢献した 。ALIソフトウェア契約法原則はこの議論を踏まえ、ライセンサーに有利な法であると批判されるUCITAと異なり、格差が存在するユーザーと供給者側のバランスをはかった規制を提案する方向性を追求したものであり日本における議論にも示唆を与えうる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現代社会において、高度情報化社会という側面からは、ソフトウエアやハードを含む電子情報を目的物とした取引、取引形態としては電子商取引やインターネットを介した売買、金融取引など新たな経済行為が産み出されている。 このような社会において、消費者と事業者との間に情報・交渉力などの面で大きな格差が存在することが無視できなくなっており、米国におけるソフトウェア契約について、2009年にアメリカ法律協会(American Law Institute、以下、ALI)が承認した Principles of the Law of Software Contracts(以下、ALIソフトウェア契約法原則) について検討することには意義がある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、消費者法政策の目的を踏まえた消費者法制の構築について検討するにあたり、どのような範囲の、どのような類型の消費者に対して、どのような法的保護が必要とされるのかといったことについて考慮することを目的としている。今後は、保護されるべき消費者像を特徴づける、平均的消費者、幼児、高齢者、障害者といった、より客観的な消費者の類型と、特定の取引において消費者の行動に影響を与えると思われる個々の消費者の個別的事情に基づく消費者の類型及び損害の態様という観点から、情報・交渉力の格差について様々な角度から検討していくことが考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
購買を予定していたものが入手できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
印刷紙等に使用する。
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