研究課題/領域番号 |
26380155
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
川和 功子 同志社大学, 法学部, 教授 (70295731)
|
研究分担者 |
金子 宏直 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (00293077)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 契約 / 情報 / 消費者 / 権利 / 取引 / 情報社会 / 広告 / 規制緩和 |
研究実績の概要 |
現代社会において、規制緩和が促進され、商品やサービス、取引条件、契約条項が多様化、複雑化している。高度情報化社会という側面からは、ソフトウエアやハード上を含む電子情報を目的物とした取引、取引形態としては電子商取引やインターネットを介した売買、金融取引など新たな経済行為が産み出されている。このような社会において、消費者と事業者との間に情報・交渉力などの面で大きな格差が存在することが無視できなくなっている。特に、高齢者、若者、幼児、制限行為能力者であるため、多様化、複雑化、高度情報化のメリットを受けにくく、デメリットを受けやすいため、比較的多くの取引の場面において被害を受けやすい消費者も存在している。経済社会の発展に必要であるとされる規制緩和が促進されるなか、消費者保護に必要となる法的保護の拮抗関係が顕在化し、その結果、消費者が真に自発的な意思決定をすることが困難な場面が生じている。このような現代社会において、消費者の権利を尊重し、消費者の自発的な意思決定に基づく主体的な参加が可能な、安全で公正な社会の実現のためには、どのような消費者法制度がふさわしいのか検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、被害を受けやすい消費者を意識しつつ、現代社会において多様化した商品、取引方法が存在するなか、消費法制はどうあるべきなのかについて検討することを目的としている。今年度は、EUにおける商品・サービスの広告と、消費者の誤認に関わる規制および裁判例について、商品、サービスの種類、流通形態、消費者の属性、誤認の態様、誤認の社会的・文化的・言語的背景等に留意しながら検討することを中心に研究を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
被害を受けやすい消費者も意識しつつ、現代社会において多様化した商品、取引方法が存在するなか、消費法制はどうあるべきなのか、法律、ガイドライン、行政機関、業界の自主規制、各国の異なる裁判上あるいは裁判外の手続き、ハーモナイゼーション、またはグローバライゼーションといった要素を総合的に考慮し、このようなテーマをさらに発展させ、消費者の自発的な意思決定をサポートし、安全で公正な社会の実現のための消費者法制のありかたについてさらに検討していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
いくつかの高額な書籍について、学部の予算で購入することができた。
|
次年度使用額の使用計画 |
主に図書に使用する。
|