近年の医療費高騰を抑制し、より安全な医療を患者に提供するために、患者の診療情報の電子化を推進する動きは、わが国を含めて世界的なものとなっている。そのような状況の中、従来から世界的な医薬品有害作用報告の基盤となるデータベースを有する英国においては、病院・診療所・社会福祉関連のデータを全て名寄せして、それらのデータの二次利用をめざす新プログラム「care.data」が、中止に追い込まれた。世界に類を見ない、患者の自己情報コントロール権を重視したシステムを持つとして注目を集めていたオーストラリアのPCEHRも、再起動をかけることになった。両国の今後の舵取りを見守りたい。
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