本研究プロジェクトの最終年度となる平成28年度には、代表者、分担者、協力者がそれぞれの事例研究を進めつつ、11月のアジア政経学会秋季大会において研究成果発表を兼ねた分科会(「中国革命と地域社会における権力構造の変遷:「土地革命」神話を超えて」 )を実施した。 同分科会では、研究分担者の山本真氏(筑波大学)が「1949年前後、共産党による軍事的勝利と在地勢力―福建省の事例から―」 と題する報告をおこない、本研究プロジェクトに御協力いただいた台湾の中央研究院近代史研究所の陳耀煌氏が「伝統から現代へ:20世紀中国基層農村リーダーの性格の変化」と題する報告をおこなった。また、本研究プロジェクトに御協力いただいた岩谷將氏(北海道大学)と隋藝氏(筑波大学)に討論をお願いし、司会を務めた研究代表者の阿南友亮(東北大)および当日フロアに御参加いただいた複数の専門家を交えて「土地革命」に替わる中国革命の新たな定説の構築の現状と展望について活発な議論を展開した。また、そのことをつうじて学界に対する問題提起をおこなった。 研究分担者の山本真氏が本研究プロジェクトの研究成果を取り込む形で平成28年度に発表した単著『近現代中国における社会と国家 ―福建省での革命、行政の制度化、戦時動員』も本プロジェクトの重要な成果に含めることができる。代表者の阿南友亮は、三年間の研究成果を論文にまとめており、学会誌または大学の紀要に発表する予定である。協力者の陳耀煌氏も前述の報告をふまえた論文を台湾の学術雑誌に掲載する予定である。
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