本研究は、政党システムの変動期のイギリス二大政党(労働党・保守党)の政党組織改革を対象に、いかなる方向性を有する組織改革が行われており、それが両党の統合能力の再生に対していかなる効果をもっているのかについて分析した。 その結果、特に労働党において、一人一票制度などの個人党員重視の傾向は進んでいるものの、それが「中道化」に結びついた1990年代とは逆に、2010年以降には「左傾化」を生み出す要因となっている点や、2000年代以降分権化が進んだにもかかわらず、二大政党の政党組織改革は過渡期にあることがその支持調達能力の低下の原因となり、多党化の一要因となっていることなどを結論として得た。
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