研究課題/領域番号 |
26380165
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中溝 和弥 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90596793)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 貧困 / 格差 / 選挙 |
研究実績の概要 |
2016年度の研究実績は、次の三つの柱から構成される。第一が、インドにおける現地調査、第二が、世界から著名な研究者、社会活動家を招聘しての国際ワークショップの開催、最後が、貧困と格差に関する研究の成果発表である。 第一点に関しては、2017年2月にデリー、アーメダバード(グジャラート)、ムンバイで現地調査を行った。いずれの都市においても、研究者、社会運動活動家等から聞き取り調査を行い、貧困・格差をめぐる問題と選挙政治の関わりについてデータを集めた。 第二点に関しては、まず2016年6月13日にNIHUプロジェクト「南アジア地域研究」と共催で、"Perspectives on India"と題する国際ワークショップを開催した。インド、アメリカ、シンガポールから著名な研究者が参加し、貧困・格差問題を含むインド政治の現在について討議を行った。さらに、同年10月21日には、インドから著名な社会活動家を招聘し、「南アジア地域研究」と共催で"India at Crossroads"と題する国際ワークショップを開催し、インドが現在置かれている貧困・格差の問題を議論した。 最後の成果発表については、前年インド・ビハール州で実施した2015年州議会選挙に関する大規模調査を元に、2014年総選挙と2015年州議会選挙の比較分析を発表した。日本では2本の口頭発表(「開発をめぐる中央・州関係」、「モーディー政権下の州議会選挙」を行い、インドでも2本の口頭発表( "Development as an Electral Issue"<於:カルナータカ州バンガロール>,“National Issues in the Local Context"<於:ビハール州パトナー>を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に実施した2015年ビハール州州議会選挙に関する大規模なサンプル調査を国内研究会、国際会議でそれぞれ2度にわたって発表することができ、貧困・格差と民主主義の関係について充実した議論を行うことができた。さらに、日本において2度国際ワークショップを開催し、貧困・格差と民主主義の問題を幅広く議論できたことに加えて、国際的なネットワークを着実に構築することができた。現地調査も、3都市で実施し、特に2017年12月に州議会選挙を予定しているグジャラート州では、選挙前の動きを調査することができた。 これらの調査、そして議論から明らかになったことは、人々の主要な関心は、まず雇用であり、そして開発であった。選挙では、これらの問題をよりよく解決することを期待できる政党に支持が集まる傾向があるが、総選挙と州議会選挙ではリーダーシップの問題も大きく作用することがわかった。今後は、これら諸要素の絡み合いを丁寧に解いていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる2017年度は、ビハール州の事例について口頭発表した内容を出版する方向で作業を進めたい。さらに現地調査については、予定していた調査を行えなかった西ベンガル州とウッタル・プラデーシュ州でも調査を行いたい。できればタミル・ナードゥ州でも調査を行い、各州の比較分析を通じて、民主的な政治的競合が貧困と格差の縮小に至る過程を分析し作業仮説を検証することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
家庭の事情により、予定していた海外調査を十分に行えなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
予定されていた海外調査を行うことによって執行することを予定しています。
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