最終年度となった2018年度においても、第一に現地調査の展開、第二に、国際会議・ワークショップにおける研究成果の発表が大きな軸となった。 第一の現地調査の展開については、デリー、ビハール州、グジャラート州、マハーラーシュトラ州において現地調査を展開した。昨年度新たに研究課題として設定した牝牛保護運動の実態を継続して調査し、貧困と格差の拡大はこの運動と直接の関わりを見いだすことは難しいものの、2019年度に総選挙を控え、貧困と格差の問題が雇用問題としてクローズアップされるなかで、この問題が生起していることを確認することができた。 第二の研究成果の発表については、牝牛保護運動について、フランス・パリで開催されたヨーロッパ南アジア学会でパネルを企画し発表も行い(‘Vigilantism and the making of “New India”’)。シンガポール国立大学でのセミナーでも発表を行なった(‘Understanding Vigilante Justice')。加えてアジア政経学会共通論題で発表を行ない(‘Melting Democracy')、さらにロンドン大学ゴールド・スミス校で開催された国際ワークショップにおいて、ビハール州の事例に基づいた発表を行なった(‘Violence and Identity Formation’)。これら研究発表に加えて、貧困と格差の問題に関し、ビハール州における2014年下院選挙と2015年州議会選挙を比較分析した「格差と開発-インド・ビハール州における2014年下院選挙と2015年州議会選挙-」を刊行した。
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