研究課題/領域番号 |
26380166
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北村 亘 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40299061)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地方分権改革 / 機関委任事務制度 / 三位一体改革 / 国の出先機関改革 / 国と地方の協議の場 / 地方創生 / 政治的不安定性 |
研究実績の概要 |
1990年代中頃から本格的に始まった地方分権改革について、基本的な流れを整理し、ひとつひとつの改革の特徴を再度確認することからはじまった。機関委任事務制度の廃止などを内容とする2000年の地方分権一括法、2004年度~2006年度の地方税財政を中心とした三位一体の改革、そして、その後の国の出先機関の見直しをめぐる対立、2009年からの地域主権改革という名の下で行われた国と地方の協議の場の法制化や各種の改革、そして、2014年から本格化した地方創生のための改革など、丹念に「何がどこまで変化したのか」ということを中心に分析を行った。 上記の作業と同時並行的に、国家全体の統治制度に関する議論や政治学の研究成果を参照しながら、政治的不安定性の操作化作業を試みた。特に、比較政治制度論や政党組織における中央本部と地方支部との関係についての研究成果が多くみられ、それらと行政制度における中央省庁と地方自治体との関係の変化との間の関連性について検討を行った。この点については、内外の研究者と学会報告などを通じて議論を行うことができた。 また、東日本大震災以後の地方税財政政策の領域についても、中央政府内部の政府与党幹部や関係省庁がどのように行動することで地方擁護的な政策となるのかという点から試論的に現在検討している分析枠組みで説明できるのか検討を行った。 現段階では、地方分権改革の方向性を特徴づけるメルクマールを特定する作業を行うとともに、政治的不安定性の操作化のためのデータ収集を行う必要があるということが浮かび上がってきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年9月初めから2015年1月末までの間、台湾にある国立台湾大学および国立政治大学にて客員教授として日本の政治、行政、地方自治を大学院生および大学生に講義し、他の台湾内の大学に講演や研究会をしていたためにインタヴュー調査が十分にはできなかった期間があったが、地方分権改革の進展に関する仮説を日本および台湾での学会発表で披露し、研究者と議論を行ったことで改善すべき点などが明らかになり、研究全体としては順調に進むことになった。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、分析枠組みの洗練化作業を引き続き行う。その際に、関係者へのインタヴュー調査を前年度同様に進めると同時に、海外の同様の事例と照らし合わせる必要がある。英国やフランスなどの単一主権国家での地方分権改革の現状についてもあわせて調査を行う。
第2に、数量的データなどによって地方分権改革の方向性を捉えていく必要もある。できるだけ多面的にデータをそろえて改革の方向性の特徴づけを行う必要がある。
本年度の他の研究者との討論の中で、改革の方向性についての特徴づけが曖昧という指摘を受けていることからも、この作業が次年度の課題となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年9月初めから2015年1月末までの間、国際交流基金および交流協会(大使館相当)のプログラムにて国立台湾大学および国立政治大学の客員教授として台湾に赴任していたため、予算執行が困難となっていたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
統計ソフトの購入や研究会の開催など、台湾赴任によってできなかったことを次年度に行うため、3カ年度間の予算執行への影響はない。
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