研究課題/領域番号 |
26380167
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
近藤 正基 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (80511998)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 福祉国家 / 福祉再編 / 福祉国家の現代化 / 家族政策 / キリスト教民主・社会同盟 / 自由民主党 / 政党政治 / 労使関係 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、ドイツ政治およびドイツ・日本比較分析について研究を進めた。ドイツ福祉国家については、メルケル政権下での展開を分析する論考を発表した。「メルケル政権下でのドイツ福祉国家の変容」(『ドイツ研究』第50号、1-10頁、2016年)では、ドイツ福祉国家が、縮減だけでなく、拡充されていく動態を分析し、その背景にある政治的要因について検討した。Sozialpolitik im Wandel--Die Sozialpolitischen Reformen unter der zweiten Regierung Merkel(Journal of Intercultural Studies No.44, pp.95-112, 2015)でも、メルケル政権の政治力学と福祉国家の展開について考察をくわえている。第3次メルケル政権の動向も見据えた研究は日本国内にはほとんどなく、その点で本研究には意義があると考えている。福祉国家と関連する社会・政治問題として、憲法改正や近年台頭している右翼ポピュリズム政党があげられるが、これらに関する研究報告も行った(2015年度日本比較政治学会研究大会、慶應義塾大学法学部主催シンポジウム)。ここでの研究成果は、2016年度に共著というかたちで公表される予定である。また、日独比較研究も進めた。神戸大学・アデナウアー財団共催のシンポジウムでは、"LDP und CDU/CSU im Vergleich 自民党とCDU/CSUの比較"(シンポジウム名: MajorParties’Influenceonthe ProcessofPoliticalOpinionMakinginGermanyandJapan)というタイトルで報告し、日独比較研究を行った。近年の日独福祉国家政策の違いを、CDU/CSUと自民党の相違から分析するという内容であり、世界に類を見ない画期的な内容だったと考える。これらは今後論文・図書として公表されていく予定である。そのほか、日独で家族政策が大きく異なってきているが、このテーマに関しても研究を進めており、2016年度に、論文や図書として公表していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツおよび日独比較の研究を進めており、すでにいくつかの研究を公表した。日本語だけでなく、ドイツ語でも研究成果を公表しつつあり、順調に研究が進んでいると評価して問題ないように思われる。2016年度にもすでにいくつかの出版が決まっているため、今後も順調に研究が進むものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
『憲法改正の比較政治学』、『移民と福祉国家の変容』、『ドイツ現代史』において、論文を掲載されることが決まっており、すべて2016年度内に出版される予定である。すべての論文が日独比較というわけではないが、日本との比較を踏まえた議論を展開しており、日独比較研究がいっそう進展すると思われる。福祉国家の領域についていえば、『家族政策の比較政治学』および『福祉国家・ドイツ』で福祉国家の日独比較研究を行っており、これも順次出版される予定である。また、10月には、神戸大学の国際シンポジウムで、 "Kultursoziologische Unterschiede in der Unternehmensführung am Beispiel Japan versus deutschsprachige Länder Europas“ "Kultursoziologische Aspekte der Arbeitnehmervertretung in Japan und Europa"というタイトルで報告することになっており、研究成果の発信の機会もあると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、ドイツおよび日本福祉国家関連の図書をさらに購入する予定であったが、いくつか出版が延期されたものがあったため、繰り越して2016年度に利用することとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
日本およびドイツ福祉国家に関する著書の購入に充てることを予定している。
|