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比較研究における成果は三つある。一つ目は、ドイツと日本の福祉国家の発展について、グラーツ大学・神戸大学共同シンポジウムで報告したことである。日本とドイツの福祉国家がどのように異なったタイプに発展していったのかについて、政党政治に注目して報告した。その際、とりわけ保守政党と左派政党が日本とドイツで異なる政策選好を持っていることに注目した。二つ目は、日本とドイツの左派政党や労働組合について比較を行った論文をドイツ語で執筆し、これが近く『国際文化学研究』に掲載されることである。すでに上記のシンポジウムで報告した内容も含まれるが、特に左派陣営の団体・政党がドイツのそれとどのように違っていたのかについて論じている。ドイツの左派陣営に見られないような主張（安全保障、憲法、再軍備）が見られることや政党の自己認識から日本とドイツの違いを明らかにしている。三つ目に、憲法改正の比較政治学にドイツ憲法改正政治について寄稿したことである。日本の憲法改正の特殊性を比較分析によって描き出すという著作であり、ドイツの分析を通じて比較研究に貢献したといえる。ドイツの憲法改正過程における政治の特質を二つに分類しており（戦後的価値をめぐる改革と統治機構をめぐる改革）、日本との比較の上で重要な含意を持つ結果を生み出したと考える。
また、論文というかたちにはならなかったが、福祉国家の日独比較について、直近の変化を踏まえた論文を執筆しており、近く完成する予定である。本研究期間が終了しても、この研究を続けていき、これまで執筆したドイツ語論文をまとめて、ドイツの出版社から出版することを今後も目指していく予定である。
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