本研究の目的は、日本と韓国の自治体における行政職員と市民(地域コミュニティ協議会(日本)・地域自治委員会(韓国))に対するアンケート・ヒアリング調査を通じて成功的市民参加の制度的要件を明らかにすることである。 平成28年度では、研究の目的と実施計画に基づき、韓国の住民調査を行った。調査対象は牙山市と論山市の地域自治委員会の関係者であり、各市の担当局部に依頼し郵送で回収を行った。最終の回収率は、牙山市が57.0%(100部配布)で論山市が62.0%(100部配布)である。行い、実施し完了することであり、現在、対象自治体の関係者との日程調整を行っている。次には、職員・住民調査データを用いて両者・日韓の比較分析を行うことにする。また、平成27年度に行った行政職員に対するアンケート調査データを用いて、市民参加に対する職員の態度、成功的な市民参加に関わる要因などについて分析を行った。その結果、市民参加に対して日本と韓国の行政職員は規範的な賛成を示しながらも、現実的な各論においては消極的な姿勢をもつことが明らかになった。これらの分析結果の詳細については、「市民参加と地方公務員の道具的合理性」(2016、『地方行政研究』第30巻第2号、199-224頁、韓国語・査読あり)と、「市民参加に対する行政組織の認識と態度」(2017、『香川法学』第36巻第3・4号、103-129頁)でまとめられた。 また、3年計画の本研究は終了となるが、住民調査による分析及び日本と韓国との比較分析は現在行われている。これらの分析を通して本研究の問いかけに対する一定の解答を示していきたい。
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