研究課題/領域番号 |
26380172
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
梶原 克彦 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (10378515)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国民意識 / 少数民族問題 / 移民・外国人問題 / ナショナリズム |
研究実績の概要 |
本研究では、国民意識の構造が移民・外国人の包摂と排除に与える影響を、国家形態の違いに応じた国民意識の変容に注目して考察する。そのために、(1) 19 世紀末から現代までのオーストリアの〈国家の形態〉に注目し、多民族国家(帝政期)・国民国家(大戦間期から1990年代末まで)・国民国家と超国家組織の併存(現在)に分類する。(2)これら三つの国家形態ごとに国民意識の構造を明らかにする。(3)この国民意識構造と移民・外国人の包摂ないし排除との関連を検討する。 本年度に進めた内容は主に以下の三点である。第一に先行研究の文献収集ならびに読み込みを行い、移民・外国人や少数民族など、非ドイツ系住民に対する政策と国民意識の構造との関連について把握することに努めた。 第二に、資料収集を行った。まず国内において公刊資料などを貸借・複写により収集した。次いでオーストリアの自国イメージに関する資料を収集するために、オーストリア国立図書館、オーストリア国立文書館、ウィーン大学図書館において資料収集を行った(実施期間は平成27年2月28日から3月17日)。時間と経費の節約のため、春季の休講時期を活用した。本年度は帝政末期および現在の問題に関して、前者については国民イメージのドイツ化と移民・外国人の問題、後者については福祉国家との関連から、資料収集に努めた。 第三に、上記の作業から得られた研究の成果と進捗状況を確認するため、成果発表として、学術論文の執筆ならびに研究会での報告を行い、また研究打ち合わせなどで情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書で示した5つの区分について、おのおの研究および作業を進めることができた。基礎分析については、移民・外国人や少数民族などに関して、非ドイツ系住民に対する政策を先行文献などに依拠しながらこれを進めることができた。また実際の政策展開について、新聞・雑誌記事の収集・整理を行った。この作業は従来の国家イメージに関する研究の発展路線上に位置づけられるものであり、これまでの研究をさらに深化させる作業でもある。 つぎに、基礎分析を進めるために国内での資料収集を行った。基礎分析を進める上で必要な文献・資料は、これまでに収集したものに加えて、国内の図書館からの貸借・複写によって収集し、これを進めた。 海外での資料収集は、平成27年2月28日から3月16日まで(3月17日は移動日)、オーストリア国立図書館、オーストリア国立文書館、ウィーン大学図書館において行った。この時期に資料収集を行ったのは、時間と経費の節約のためである。滞在時間に限りがあるため、事前に所蔵内容と閲覧状況に関して、先方に照会していたため、効率よく収集作業を行くことができた。 残りの2点に関しては、まず他の研究者との意見交換については、学科・研究会出席の際にこれを行った。成果発表については、上記の基礎分析ならびに資料収集で得られた成果の一部を含めて、総力戦と国民国家に関する論文や大戦間期保守派の国民イメージに関する論文を執筆し、また研究会で報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
基礎分析については、まず前年度に海外で収集した資料の分析と整理を行う。またこれに加えて、さらに非ドイツ系住民(国内の少数派や移民・外国人)への対応や政策について、事実の把握と理論的アプローチの検討を進める。 国内での資料収集は上記の基礎分析に必要なものに合わせて、日本との比較の観点をふくめて、これを行うこととする。相互貸借・複写、インターネットの利用に合わせて、所蔵館に直接赴く場合には、時間と経費を考慮して長期休暇中に行う。 海外での資料収集は、ドイツ・オーストリア、ならびに比較の観点を踏まえるためイギリスで行う予定である。有効に時間を活用するため、これらの地域の図書館・文書館を訪問する際は事前に所蔵・利用状態を照会する。 上記の作業から得られた研究成果と進捗状況の確認のため、また前年度に得られた知見の公表のため、研究会などで報告し、学術論文を紀要や学会誌に投稿、公刊する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は資料収集の時間がうまくとれず、比較的短期に終わったため、旅費と複写費が予定した使用計画の額を下回った。しかしながら、その短期の収集期間を生かし、次年度の収集の目途を立てることができ、本年度の未使用額は来年度の研究で確実に使用されると考えたため、あえて無理に使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費は移民・外国人問題関連図書の購入のために計上している。本研究は、多くの資料を用いて実証性を高めるため、海外での資料収集が必須の作業となる。また現代の動向とも密接に関連しているテーマであるため、同時代の雰囲気を体験する必要がある。これらの理由から、平成27年度も調査・研究旅費に配慮して経費を算出している。平成27年度には、前年度の研究成果の公表に鑑みて、調査・研究旅費とは別個に、成果公表旅費を計上している。その他として、資料収集時の複写費、移民・外国人問題関連書籍ならびに複写物の運搬のために通信・運搬費を、資料整理のための補助者雇用に謝金等を計上している。
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