研究課題/領域番号 |
26380175
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
島袋 純 琉球大学, 教育学部, 教授 (40253934)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 沖縄振興予算 / 沖縄振興一括交付金 / 補助金適正化法 / 補助要綱 / 在沖米軍基地 / 辺野古新基地建設 / スコットランド予算 / スコットランド政治 |
研究実績の概要 |
2014年度においては、研究目的である沖縄振興一括交付金の創設の経緯と変容を解明するために、 第一にこの交付金の運用実態とその変化をはあすることである。そのため、交付金の公布担当である内閣府沖縄担当部局への聞き取り及び交付金利用衆多である沖縄県内市町村及び関連団体への聞き取りを行った。 第二に、この交付金の創設に当たっての制度設計の本質的問題を解明することである。2010年5月時点の最初に沖縄側から要求されたのは、「沖縄振興予算」3000億円全額の完全な一般財源化の要求であった。国直轄事業分及び補助事業分の合算に加え、国の出先機関の県行政組織への統合であった。実際にこのような改革は、英国スコットランドの改革においては1999年より実現しており、スコットランドにおいてどのような政治行政上の変化が起こったのか、聞き取りと観察を実際に現地に出向いて行ってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画の要である情報収集、得に実際に沖縄振興予算及び一括交付金の交付担当及び利用当事者への聞き取りができたことが理由である。内閣府沖縄担当部局において聞き取りを実現し、また数カ所、沖縄県内市町村における事業者等に聞き取りもできた。さらに、スコットランドに訪問し、スコットランドの政治行政状況に関して、経済学者、経済関係者、政党党首、市民運動リーダー等から多くの聞き取りを行うことができた。この成果の一部は、日本行政学会2015年大会において「中央地方関係の中の沖縄なのか」と題して学会報告を行うことができた(2015年5月9日日本行政学会沖縄大会にて)。
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今後の研究の推進方策 |
沖縄振興予算及びその一部である沖縄振興一括交付金は、日本の中央地方関係に置いて、極めて特殊な「政治的状況」の中に投げ込まれている。辺野古への新基地建設問題である。したがって、日本の行財政上の基本的な原理原則、法及び制度規範の限界を逸脱するような特殊政治的は判断と言われる影響力がどの程度まで制度の設計と運用実態に影響を及ぼしているのか、それを判断することは、極めて難しい。 比較の対象として考察対象としていた、スコットランドは、1999年の制度設立から15年を経過し、制度の安定期に入ったと想定していたが、14年9月には独立の住民投票があり、わずかに及ばず否決されたが、2015年5月の総選挙においては、59議席中、保守党と労働党がほぼ全滅し、独立主義政党である国民党が56議席を独占し圧勝するという事態になっており、これもまた政治的状況が極めて大きな変化を遂げつつある。しがたって、政治的な状況変化をどう変数として取り扱うかに最新の注意と研究枠組みの再構築を図っていきつつ、引き続き内閣府及び市町村の調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が派生した理由は、主に次の予定費用が十分に消化できなかったことにある。1,書籍文献等購入費。2,研究支援及び研究事務補助への謝金。3,調査対象者への謝金。 1については、今回、沖縄振興一括交付金に直接関連する書籍、資料等に絞ったこと、スコットランド関連の書籍の購入が限定されてしまったことに起因する。2については、研究事務支援及び研究支援(たとえば上記の書籍の検索等)に携わる大学院生を手配することができず、学部学生に単純事務をお願いすることしかできずに謝金が減少した。3については、内閣府沖縄担当部局各市町村一括交付金利用者等は聞き取りへの協力を業務内の一環として処理していただいたため、謝金が発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用については、以下のように計画している。1,書籍・文献等の購入、2,研究支援及び研究事務補助への謝金、3,調査対象者及び協力者への謝金、4,旅費。 以上の内、1~3については、前年度実施不足分を実施し使用する予定である。旅費については、研究助言や研究資料の入手、聞き取り調査等、より多くの研究出張が必要であるため、旅費への充当として使用する予定である。
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