本研究の目的は、ピューリタン革命の後半期(1653-59 年)に成立したオリヴァ・クロムウェルの護国卿体制の歴史的かつ思想的意味を、宗教改革に淵源をもつピューリタニズムと古典古代の政治的伝統に由来する古典的共和主義という二つの思想的潮流に着目することで明らかにすることにあった。 この体制は従来の研究の中では短命に終わった軍事独裁として、過少評価される傾向にあった。これに対し本研究は、護国卿体制こそピューリタニズムと共和主義の理念をを取り入れ、これらを総合することによって、「自由な国家」としての共和国を基礎づける原理を形成せんとしていたレジームであることを見出した。
|