研究課題/領域番号 |
26380189
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
坪郷 實 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (20118061)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 比較政治 / 市民社会 / 政権政策 / 協同組合 / 環境団体 / 脱原発 / エネルギー政策 / 自治体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、エネルギー転換のドイツ・モデルの総合的分析を行うとともに、比較の視点から、日本におけるエネルギー政策転換のための課題を分析することである。今年度は、特別研究期間により、ドイツ・マーティン・ルター大学ハレ=ヴィツテンベルク(ハレ大学日本学研究所)に一年間滞在して、研究を行った。 第1に、国際比較の分析のための分析枠組みをより明確にするために、参加ガバナンス論、市民社会論、ソーシャル・キャピタル論の近年の研究動向を整理・分析し、論文を執筆し、公表した。 第2に、エネルギー転換のドイツ・モデルの総合分析を行うために、首相府、連邦経済・エネルギー省、連邦環境・建設省において、資料収集を行った。エネルギー協同組合や環境団体の動向を調査し、2014年5月にベルリンで開催されたエネルギー転換推進のためのデモと集会について調査を行った。さらに、5月25日に実施されたヨーロッパ議会選挙、統一自治体選挙について、特にエネルギー政策・環境政策に関して調査を行った。これらの調査により、ドイツのエネルギー転換は基本的に定着していること、課題として電線網の整備に関して立地問題があること、環境団体や緑の党から「脱石炭火力発電」が提起されていることなどを把握できた。関連して、論文の執筆を行い、公表した。 第3に、日本については、生協や環境団体などによって取り組まれた4月開催の「脱原発フォーラム」など、生協、環境団体、市民電力の取り組みについて予備調査を行った。研究協力者による研究チームは、7月に研究会を開催し、自治体やNPOによる取り組みについての調査に関して打ち合わせを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、特別研究休暇によりドイツ・ハレ大学日本学研究所に滞在して、調査・研究活動を行うことができた。そのため、エネルギー転換のドイツ・モデルの総合分析について、重点的に資料収集と調査を行うことができた。ドイツにおけるエネルギー転換の課題について重要な知見を得ることができた。 国際比較のための分析枠組みに関する研究については、これまでの研究動向の整理・分析を行い、その重要な論点に関して論文を執筆し、公表することができた。 他方、日本における事例研究ついては、特に、協同組合や環境団体の取り組み事例に関して、研究協力者により、情報取集を行い、予備調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、これまでのエネルギー転換のドイツ・モデルの総合分析の中間とりまとめを行うとともに、それとの比較で、日本におけるエネルギー政策の転換の現状と課題について調査を行う。日本の事例研究については、平成26年度は予備調査にとどまったので、今年度は、研究協力者の協力により、重点的に取り組む。そのために、市民主導、自治体主導の取り組みの事例研究を行う。市民主導の取り組みとしては、特に、生協をはじめとする協同組合の取り組み、環境団体の取り組み、市民電力の取り組みを取り上げる。自治体主導の取り組みについては、飯田市、東京都、多摩地区の市の事例を取り上げる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、特別研究期間のため、ドイツに一年間滞在して、エネルギー転換のドイツ・モデルの調査・研究を重点的に行うことができた。そのため、予定していたドイツ調査のための旅費を使用しなかった。さらに、日本調査については、情報収集や資料収集など予備調査を行ったが、国内旅費や人件費・謝金を使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、日本におけるエネルギー政策転換のための現状と課題について、重点的に調査を行う。日本の現状を把握し課題を分析するために、特に、協同組合、環境団体、市民電力の取り組みの事例研究、自治体の取り組みの事例研究を行う。そのため、国内旅費、人件費・謝金を予定より増額して使用する。さらに、エネルギー転換のドイツ・モデルの中間まとめを行うため、外国旅費を予定より増額して使用する。
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