研究課題/領域番号 |
26380190
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
BOYD J・PATRICK 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 助教 (50449328)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日本政治 / メディア / 政権交代 / ハネムーン効果 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後日本にて、ここ20年で3度も起こった政権交代を事例とし、新政権発足初期にはメディアが批判的報道を控える「ハネムーン効果」の仮説が日本の政治報道において適用可能かどうかを検証する。主な研究方法として、ヒューマン・コーディングによる新聞記事の内容分析を行うため、ヒューマン・コーディングのためのルールを定めるコーディング・マニュアルを作成するのが、最初の課題である。当初の計画に記述された通り、このマニュアルを一から新規で作成するのではなく、米国大統領に対するハネムーン効果に関する研究をモデルとして使用し、日本の政治情勢に当てはめる予定であった。しかし、結局模範となるマニュアルは入手できず、途中で新規で作成する方針に変更した。よって、当初の計画より時間が必要となり、第一年度前半までに作成は終わらず、第一年度後半に入り、当初予定していたヒューマン・コーディングの開始時期を延期せざるを得なかった。コーディング・マニュアルをまとめるため、細川政権、鳩山政権、現在の安倍政権の三事例の研究を続け、すべての事例に共通する内閣のイメージと政策位置・実績を評価するコードを揃える。
この研究課題の一部を使用し、2014年7月にシンガポールで行われたアジア研究学会(AAS)で研究発表を行った。この研究では、現在の安倍政権にスポットライトを当て、新聞記事や世論調査の分析によって、安倍政権の保守的イメージや支持率の関係を調べた。
最後に、第二年度前半の研究課程に素早くに着手できるように、必要な用品や消耗品を購入した。(パソコン2台、USBメモリー10個、と必要なソフト(エクセルを含むマイクロソフト社のオフィス)などを購入済み。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、コーディング・マニュアルを新規作成するのではなく、米国大統領のハネムーン効果に関する研究をモデルとし、作成する予定であったが、その計画が難航した。よって、予定していたヒューマン・コーディングの開始時期も延期することが得策となった。何故なら、コーダーを募集し、訓練するタイミングとして、新学期であれば、長期で研究に携わる事が出来る有能な人材を確保できる可能性が高いからである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(平成27年)の作業として、コーディング・マニュアルの完成に伴い、該当記事を収集する。該当記事を3大紙の記事データベースからダウンロードし、コーディングに使いやすい電子ファイルとして整理し、保存する。ファイルの収集・整理作業を行う研究補助者を5名採用する。次に、ヒューマン・コーディングを実施するため、コーダーとして博士後期課程の大学院生を10名起用し、上記のコーディング・マニュアルで定めたコーディング方法を数週間で訓練する。記事の一部をサンプルとし、複数のコーダーがコーディングし、コーダー間の信頼性を確認する。コーダー間の信頼性が確立されたら、コーダー10名が収集した記事を全てコーディングする。コーディングの進行が遅れる場合、コーディング期間を来年度に延長する。
来年度(平成28年)の作業として、ヒューマン・コーディング終了後、コーディング結果の集計や整理を行い、分析する。この結果を基に、メディア関係者のインタビューを行うための質問書を準備する。3大紙の新聞記者・編集者など20-40名を対象にインタビューを行い、政権交代後のメディアの内情を探求する。最終的には、日本政治学会や米国政治学会(APSA)の2016年度研究大会にて、研究の結果を発表し、論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に人件費の支出がない理由は、ヒューマン・コーディングの作業が延期されたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降は、コーダーが起用され、ヒューマン・コーディング作業が行われるため、人件費が発生する。
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