研究課題/領域番号 |
26380191
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研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
加藤 創太 国際大学, グローバル・コミュニケーション・センター, 教授 (50449419)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 制度 / 制度転換 / 比較政治経済学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、政治経済制度の転換が、経済アウトプットに一時的にマイナス影響を及ぼすことを理論と実証で明らかにする点にある。本研究代表者はこの点に関して以前に、簡易な理論モデルと日本の年別・産業別データを使った実証分析を行ったが、本研究ではより汎用性が高い理論・実証研究を行う。 2014年度はまず、従来の理論モデルを抜本的に見直し、国横断の比較研究に活用できる、より厳格かつ洗練された理論モデルを構築した。また、理論モデルと実証モデルの関係についても見直し、その整合性(model specification)についても証明を加えた。こうした内容を取り入れた論文 "Political Economic Transition and Output Loss: Evidence from Japan."をまとめ、米中西部政治学会(MPSA)の年次学会において発表を認められた。 本研究の理論モデルは、制度間の転換スピードの違いを一つの重要な想定条件としている。転換スピードが異なる要因について仮説を立てて実証を行った論文 "Bifurcated Processes of Institutional Change: Cross-national and Cross-sectoral Comparison." を作成し、国際社会経済学会(Society for Advancement of Socio-Economics(SASE))の年次学会において発表を認められた。 実証部分については、現在、多国間のデータを収集してまとめている段階にあり、データの収集が終わり次第、多国間データでの実証研究も2015年度以降行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り新たな汎用性の高い理論モデルを構築し、それを論文"Political Economic Transition and Output Loss: Evidence from Japan."にまとめ、中西部政治学会(MPSA)での発表が認められた。また、制度転換のスピード差についてまとめた論文も海外の学会で発表を認められた。このように、理論面での作業は大きく進展した。 実証面については、現在、多国間のデータを収集・整理している段階にある。こちらの作業はやや遅れ気味だが、理論面での進展を加味すれば、全体としては順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は3年計画で進めており、2年目となる次年度においては、多国間の実証データの収集・整理を進めていきたい。2年目~3年目にデータ収集が完成し次第、実証分析を行う予定である。 また、1年目に発展させた理論モデルについては、海外の学会など各所で発表を行いフィードバックを受ける他、簡易な実証成果を加えた論文にまとめ、学術誌への投稿も進める予定である。 上記の理論・実証モデルの補完として、日本などにおける具体的なケーススタディを行い、理論や実証分析の検証も行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度は理論研究を先行させたため研究代表者の机上の作業が中心となったことと、政策シンクタンクから研究出張費が補助されたことで、研究費の出費が当初の想定より少なくなった。また実証研究が本格化しデータの持ち出しが頻繁に必要になる段階まで、パソコンの購入なども見合わせた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、研究成果の発表のための出張が多くなる他、データ収集・整理の作業に各種の費用が必要となる。また、2014年度に見合わせたパソコンの購入なども行う予定であり、2015年度以降は大幅に出費が増える見通しである。
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