研究課題/領域番号 |
26380195
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
野口 雅弘 立命館大学, 法学部, 教授 (50453973)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マックス・ウェーバー / カール・シュミット / ゲオルク・ジンメル / 合法性と正当性 / 反動 / 社交 / ワイマール |
研究実績の概要 |
政党政治についてのマックス・ウェーバーの言及を拾い集めつつ、同時代の諸政党(ドイツ民主党、中央党、社会民主党など)への彼の態度を整理する作業を行った。この成果の一端は、政治思想学会第22回(2015年度)研究大会 で「「人民の意志」なきレジティマシー論と「反動」の問題――『合法性と正当性』以前のマックス・ウェーバー」というタイトルのもとで報告した。 うえの報告では、マックス・ウェーバーとカール・シュミットの差異に焦点を当てた。これに対して、ゲオルク・ジンメルとカール・シュミットを対比したのが、論文「ゲオルク・ジンメルとカール・シュミット──ベルリン、シュトラスブルク、そして「社交」」『ジンメル研究会会報 』No.21(もとはジンメル研究会での報告「ゲオルク・ジンメルの社交とカール・シュミットの決断──『政治的ロマン主義』をめぐって 」)である。社会に亀裂をもたらす実質的な対立を回避するコミュニケーション形式である「社交」に注目したジンメルも、友敵の区別に「政治的なもの」のメルクマールを見るシュミットも、ともに政党政治を積極的に描くことに失敗している。うえの論文ではこのとらえ損ねの地点を確認した。 今後この成果を踏まえて、政党政治の理論を模索していきたい。このほか、本年度はワイマール共和国関係の著作を多く読んだ。その成果は、今後形にしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オットー・キルヒハイマーについての調査をし、それを踏まえて論文を執筆した。 カール・シュミットについての調査も行い、彼の日記の編者ゲルト・ギースラーGerd Gieslerにインタビューするなどした。そしてそれを踏まえて報告し、論文「ゲオルク・ジンメルとカール・シュミット──ベルリン、シュトラスブルク、そして「社交」」を発表した。 マックス・ウェーバーについても、政治思想学会において「「人民の意志」なきレジティマシー論と「反動」の問題――『合法性と正当性』以前のマックス・ウェーバー」と題する報告をした。今後それを活字にしていく予定である。 以上、研究はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、これまで断片的にしか検討されてこなかったオットー・キルヒハイマーに注目してきた。そのようななか、2015月10月からグライフスヴァルトGreifswald大学のH・ブーフシュタインHubertus Buchstein教授を中心に『著作集』全5巻の編纂が始まった。ブーフシュタイン教授とも連絡をとりながら、キルヒハイマー研究を進めていきたい。 「職業としての政治」の翻訳に取り組んでいる。また2016年度秋には日本政治学会で「日本の政治学におけるマックス・ウェーバーの遺産」と題するセッションの責任者にもなっている。これらと並行しながらマックス・ウェーバーの政党政治研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
家族の入院と大学の用事のため、予定していた出張ができなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ドイツへの出張と、関連文献の購入のために使用する。
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