研究課題/領域番号 |
26380197
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アメリカ議会 / 民主主義 / 熟議 |
研究実績の概要 |
2014年度は、議会の意思決定をめぐる近年の文献を収集し、特に熟議をめぐる先行研究を参照しながら、研究の枠組み作りを行った。また、具体的な事例とする移民法改正をめぐっても先行研究を収集し、それらの議論が事例研究に示唆する点を抑えながら、2013年の上院による移民法改正の試みと、下院をも含めたその後の議会の動きについて、公聴会記録や委員会報告などの一次文献を用いて追跡調査した。並行して、行政府により2012年より実施されている非合法滞在者の行政命令による合法化が、2014年にさらに拡大されたことを受け、政府内で展開される移民の人権をめぐる論点と今後の戦略を調査した。議会において移民法改正につながる合意形成を行っていく上で、議会内の動き、行政府の動きと合わせて、非合法移民を多く抱えるヒスパニック系の有権者・市民団体の動きについても、情報の収集・検討を行った。 2014年秋の中間選挙によって、これまで比較的熟議の余地を保っていた上院も共和党が多数派を握ることになったため、合意形成をめぐる積極的な行動がより必要となってきている。そこで、2015年2月末から行ったワシントンでの現地調査では、上院に比べてより対立の強い下院において合意形成の中心的立場にあるヒスパニック系有権者を多く抱える議員のスタッフに超党派で聴き取り調査を行った。同時に、移民の人権推進に関わり、議会への働きかけを行っている民間団体の活動を参与観察したり、聴き取り調査を行うことで、議会における移民法改正をめぐり今後の戦略と問題点がどのように認識されているかを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献の収集は予定通りに進み、次年度への枠組作りが行えた。 現地調査も、議員スタッフと移民を支援する市民団体への聴き取りから、議会運営に関する重要な情報を得ることができ、次年度の現地調査の土台を作ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は、移民法をめぐる議会でのデータの収集と分析を引き続き行うとともに、2014年度の現地調査で得られた情報に基づき、焦点をあてる議員の議会内外での活動を調査する。その上で、当該議員の地元有権者との間のコミュニケーションも含めて、現地での聴き取り調査を実施していく。同時に、中間的な研究の取りまとめを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
発注した文献が未着のために生じた差額である。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した30,474円は、既に発注済みの文献が未着のために生じたものであるため、2015年度の受け入れ額のうち、物品費として計上している額に繰り越し分30,474円を追加した額を、2015年度の文献の購入の目的で使用する。それ以外の予算項目においては、当初の使用計画からの変更は生じない。
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