研究課題/領域番号 |
26380198
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
賀川 真理 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10299018)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | クリスタル・シティ抑留所 / 抑留所閉鎖後の生活 / 戦後補償運動 / カルメン・モチヅキ / ヤエ・アイハラ / アリス・ニシモト / リチャード・カツダ / モチヅキ裁判 |
研究実績の概要 |
2017年度の主な研究実績として、第1に、前年度に引き続き、「テキサス州クリスタル・シティ抑留所をあとにして71年―カルメン・モチヅキさんとヤエ・アイハラさんのあゆみ(後編)」を『阪南論集・社会科学編』第53巻第1号(阪南大学学会、2017年10月、103-122ページ)に、研究ノートとして掲載した。 第2に、同研究ノートを出すにあたってインタビューをさせて頂いたのちに、新たな関連質問や疑問、確認などの必要が出てきたため、それらの回答を得るために再度渡米してインタビューを行った。その成果については、「テキサス州クリスタル・シティ抑留所をあとにして71年―カルメン・モチヅキさんとヤエ・アイハラさんのあゆみ(補遺)」という形で、『阪南論集・社会科学編』第53巻第2号(阪南大学学会、2018年3月、215-225ページ)に、同じく研究ノートとして掲載した。 そして第3に、モチヅキ裁判でのもう一人の原告として名を連ね、ペルーからアメリカのクリスタル・シティ抑留所に連行され、同所が閉鎖後には日本に行き、高等教育を受けたのち、アメリカに戻ってこられたアリス・ニシモトさんと、Campaign for Justiceなどを通じて、第二次世界大戦中にアメリカに連行された日系ラテンアメリカ人に対する戦後補償運動を行ってこられた、日系アメリカ人のリチャード・カツダさんに、アメリカのロサンジェルス近郊でインタビューを行った。モチヅキさんとニシモトさんは、日系ラテンアメリカ人に対する戦後補償運動を行ったキーパーソンの二人である。この時のインタビュー内容については、2018年5月現在では文字を起こしている段階であるが、2018年度中に研究成果としてまとめたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度には、大学の休業時期を利用してロサンジェルスに渡航し、前年度からのインタビューを行っていたカルメン・モチヅキさんとヤエ・アイハラさんに再度インタビューをしたり、新たに戦後補償運動と深く係わってこられたアリス・ニシモトさんとリチャード・カツダさんにインタビューをすることができた。しかし、家庭の事情で長期にわたる史料調査が難しく、また最初に行ったインタビュー内容を文章に起こすのに相当時間がとられてしまい、論文の執筆にまで至らなかった。 しかし、2018年3月までに、モチヅキ裁判の当事者であるカルメン・モチヅキさんと、同じくクリスタル・シティ抑留所に収容されていたヤエ・アイハラさんとのインタビューについてはすべて終え、研究ノート3本にまとめることができた。2018年度には、戦後補償に携われたもう一人の方とのインタビューを行い、オーラル・ヒストリーとしてのまとめを完成させたい。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、5年間にわたる研究課題を仕上げる最終年度となる。本来は、今年度に研究計画を終了すべきであったが、研究課題に取り組む初年度に、大きな家庭事情の変化があり、研究に専念できなかった。 そのため、本年度は昨年度の新たなインタビューに対する論文を書き上げるとともに、本来は早い段階で取り組むべきであったペルーでの現地調査を行いたいと考えている。そしてその調査における結果次第では、来年度まで研究課題の延長を申請したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までに十分な海外での研究調査を行うことができなかったため。 次年度には、第二次世界大戦中にアメリカに連行された日系ラテンアメリカ人の8割の方々の出身国であるペルーにおける史料館での調査、およびペルーにおける日系コミュニティに行き、インタビューを行うなどの現地調査を行って来たいと考えている。
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