研究課題/領域番号 |
26380199
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
岡本 仁宏 関西学院大学, 法学部, 教授 (20169155)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 公益法人 / 非営利団体(NPO) / 政治活動 / アドボカシー / チャリティ法 / 政治資金 / アメリカ / イギリス |
研究実績の概要 |
本年度は、9th ISTR Asia Pacific Regional Conferenceでの2本の研究報告、日本NPO学会での研究報告をはじめとして、学会や学会以外での場でも、研究成果の報告を行った。さらに前年度の公益法人協会編の報告書をもとに、『英国のチャリティ:その変容と日本への示唆』弘文堂、において2章を執筆し出版した。 前年度に、発表した、今田忠著岡本仁宏補訂『概説市民社会論』関西学院大学出版会、2014年10月、が、日本NPO学会の林雄二郎賞を受賞、岡本仁宏編『市民社会セクターの可能性:110年ぶりの大改革の成果と課題』関西学院大学出版会、2015年、及び本年度出版の『英国のチャリティ:その変容と日本への示唆』が同学会優秀賞を受賞するなど、研究成果について高い評価を受けた。 また、未だ研究成果として公表される段階ではないが、以下の諸点について研究実績をあげている。 公益法人認定および監督に関する国内の都道府県の合議制機関の調査の準備作業を進展させてきた。特定非営利活動法人などの市民活動に対する地方自治体レベルでの政治活動規制は、本研究課題と深い関連を持つが、この点について調査を進め、ワーキングペーパーを作成した。さらに、新しく経済産業研究所のサードセクター調査のプロジェクトにも参加し、本研究と有機的な関連を持つ研究を進めてきた。ISTR アジア大会での発表を契機にして、英米圏での公益法人類型に関する知見をより深めることができた。さらに、日本NPO学会スタディグループを提唱し一般にも開かれた数回の研究会を開催し研究活動を進めることができた。 なお、本年度から、調査対象の一つである地方自治体の合議制機関の委員に就任することになった。結果として、内部から公益認定や監督などの実態を知ることができた。調査の水準を向上させることができることが期待されるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
○ 進捗している点 著書・論文の発表や、国際学会での複数の報告、国内学会での報告、及び研究グループの形成を進めるなど、研究の発表などにおいて、進展があった。また、発表した著書が学会賞を受賞するなど成果の社会的評価を得た。これらの進捗は、初年度に、イギリスでの調査を行うことができたこと、アメリカに滞在して研究時間をとることができたことが、寄与している。また、アメリカの公益的NPOの政治活動に関する文献調査も地道に進められている。さらに、政治活動規制とともに規制を受けている宗教活動に対する規制との比較を行うためにその面での研究に着手した。さらに、NPOの政治活動規制と強い関連を持つ条例による市民活動の政治活動規制についても研究成果を出しつつある。 ○ 遅れている諸点 都道府県の公益法人の認定監督の責を担う合議制機関に対する郵送調査を行う予定が遅れている。この遅れの主要な原因は、研究者自身が、この機関の委員となったことによる。実務の状況についての知識を得る機会を得たこともあり、調査票の作成のために時間をかけることが必要となった。このため、次年度に調査を行うことになった。 ○ 以上、国内での調査という重要なプロジェクトにおいて遅れが出ている点はあるが、総括的にいえば、概ね順調に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
遅れている国内調査を行うことが主要な課題である。実質的に調査課題を少し広く取り、包括的な運用の実態を把握することを目的とする。 アメリカの状況に関する調査をさらに進行させる。 非営利団体の宗教活動に関する問題についても、比較のために研究を進めているので、早い時期に比較視点を確立し成果の発表につなげる。 これらを踏まえ、年度末までに本研究の特徴である国際比較研究を踏まえた研究成果をまとめていくことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
都道府県の公益法人の認定監督の責を担う合議制機関に対する郵送調査を行う予定が実施することができなかったことが最大の要因である。この遅れの主要な原因は、研究者自身が、この機関の委員となったことによる。この結果、調査予定の機関の実務の状況についての知識を得る機会を得たことは、当初の調査票の内容を再検討する必要を与えるものであった。この結果、調査票を作成するために十分に時間をかけることが必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
過年度に実施を延期した調査費、及び新しく広がった研究関心を含めた調査経費に充当する予定である。予定している調査は、主に郵送調査を念頭においているが、可能であれば、ウェブを利用することも検討中である。
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