本研究では半大統領制における大統領のリーダーシップについて、台湾の事例をもとに考察した。台湾の総統(大統領)は憲法上の立法権限が大きくないため、総統のリーダーシップは党派的権力に左右される。2008年、立法委員選挙に小選挙区比例代表並立制が導入されたが、選挙では依然として個人投票を勝ち取る重要性が高く、そのことが政党規律の効果を弱めている。統合政府が実現され、政党改革の結果、総統が与党の党首を兼任していても、総統が強いリーダーシップを発揮できるとは限らない。また、党団協商という議会制度が政策過程における立法院長の影響力を高めており、そのことが総統のリーダーシップを制約する一因となっている。
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