研究課題/領域番号 |
26380201
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
遠藤 泰弘 松山大学, 法学部, 教授 (30374177)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ドイツ政治思想史 / 主権 / ワイマール憲法 / フーゴー・プロイス / マックス・ウェーバー / 自由主義 / 民主主義 / ドイツ公法史 |
研究実績の概要 |
本年度は、フーゴー・プロイス(1860-1925)の「領域高権」概念の理論的優位性について、検討した。主権概念を拒否したプロイスによって導入された「領域高権」概念について、彼独特の「領域」概念との連関に注目しつつ、主権概念に対する理論的優位性を吟味した。その結果、政治主体が重層的に併存する当時のドイツの政治状況において、あえて権力主体を特定するために強引な擬制を行うことを回避できるという点で、理論上および実践上の優位性が認められること、しかし、その反面、「責任主体の拡散」という有機的国家論特有の問題が顕在化したことを確認した。 「責任主体の拡散」という問題点については、理論的に一義的な対応は困難であり、ベルリン市議会における議員としての政治活動の分析を進め、プロイスが実際に当事者として関わることとなった、具体的な政治問題に照らして検討する必要性がある。この点についての詳細な分析は、次年度の課題の一つである。 本年度の当初の計画では、昨年冬に、ベルリンの連邦公文書館、ベルリン中央州立図書館における未公刊の書簡史料や内務省関係文書の調査・収集を予定していたが、昨年11月に発生したパリ同時多発テロ事件の影響で、渡航を順延せざるを得ず、調査を実施できなかった。体制を整え直して、次年度の秋以降に調査が実施できるように、調整を行いたい。 ただし、フーゴー・プロイス協会会長のクリストフ・ミュラー教授との密接なコンタクトは維持しており、次年度の秋に講演会を企画し、目下、日本への招聘手続きを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パリ同時多発テロ事件の影響で、計画していた昨年冬のドイツにおける調査・史料収集は順延せざるを得なかったが、それ以外の部分では研究の進展に大きな滞りはない。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、順延したドイツにおける調査・史料収集を実施し、プロイスのベルリン市議会における政治活動など、彼の実践面での活動について分析をすすめるとともに、論文や研究報告、講演という形で、研究成果の社会還元に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年11月に発生したフランス同時多発テロ事件の影響で、昨年12月に予定していたドイツでの調査を順延したため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度残額と合わせて、次年度にドイツでの調査を実施する。
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