研究課題/領域番号 |
26380201
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
遠藤 泰弘 松山大学, 法学部, 教授 (30374177)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ドイツ政治思想史 / 主権 / ワイマール / フーゴー・プロイス / オットー・ギールケ / 自由主義 / 民主主義 / ドイツ公法史 |
研究実績の概要 |
本年度は、刊行予告が出されたまま、長らく未公刊となっていたフーゴー・プロイス協会によるプロイス全集第三巻が刊行され、本研究の進展にとり最も重要なワイマール憲法の制定過程をめぐる一次史料にまとまった形でアクセスできる状況となった。この史料状況の大幅な改善をうけて、プロイスがワイマール憲法の起草者として関与した憲法制定の審議過程を跡付ける作業を進めた。 とりわけ、ワイマール憲法48条の大統領緊急権導入をめぐる審議過程に注目し、当初のプロイス草案では言及されていなかった、基本権の停止条項が導入された経緯を究明するため、関連文献および一次史料の分析を進めた。その結果、当該条項の導入は、1919年1月20日から2月17日の間になされたと考えられることが明らかとなった。その具体的な経緯について、議事録のさらなる分析をすすめたい。 フーゴー・プロイス協会を主催するクリストフ・ミュラー教授とは、密接なコンタクトを保っており、ミュラー教授の依頼で、ギールケの連邦国家論についての独語論文を執筆した。当該論文は、デトレフ・レーネルト教授が編集する論文集に収録され、2017年度中にドイツで公刊される予定である。また、プロイス全集完結を受けたミュラー教授の来日講演についても、ミュラー教授の健康上の問題をクリアする必要があるものの、前向きな調整を進めている。 さらに、社会思想史学会創立40周年を記念して、学会の総力を挙げた社会思想史事典の編纂が進められており、学会からの依頼でギールケやプロイスを中心的に取り上げた「社会有機体論」の項目を執筆し、原稿を提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長らく刊行が待ち望まれていたプロイス全集第三巻(ワイマール憲法制定過程)が刊行され、史料状況が大幅に改善されたため、研究の進展は順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
刊行された一次史料をはじめ、関連文献の分析を確実に進めて、研究の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入の端数が出たため。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度繰り越し額は192円と少額であり、次年度消耗品費に充てて執行する。
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