研究課題/領域番号 |
26380203
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
明石 純一 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30400617)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際労働力移動 / ガバナンス / 外交 |
研究実績の概要 |
2015年度は、研究実施計画にもとづき、「国際労働移動の政策的管理と外交過程」に関連した資料の収集と読み込みをさらに進めつつ、現地調査を実施した。調査先ホーチミンでは、リソースパーソンでもあるベトナム国家大学ホーチミン市人文社会科学大学および師範大学の研究者ら複数と意見交換を行い、研究成果についてのイメージを固め始めた。とくに今年度は、昨年度の政府機関に対するヒアリングから一歩踏み込んで、人材派遣業界の動態について詳細な現地調査を行った。その結果、ベトナムからの国際労働移動において相当の役割を果たしている同業界の現状を明らかにすることができた。ベトナムからの移住労働者をめぐる公的な政策は、かつてよりも説明責任が問われている現状がある。今後は、国際労働移動を律する公的枠組みと市場化の方向性を関連させて分析していく必要がある。なお2016年2月には筑波大学にて専門家によるクローズドの検討会を実施した。同検討会では、ベトナムから諸外国への労働者・技能実習生や留学生の移動、また、結婚移住者の移動のメカニズムについて理解を深めた。理論的かつ実証的な観点から、ベトナムを送出国とする国際労働移動の事例を位置づける示唆を得た。なお自らが共編者のひとりとして参加した『「グローバル人材」をめぐる政策と現実』を2015年5月に刊行し、そこに、本科研の成果の一部を反映させることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的な資料収集と文献調査については、予定通り進んでいる。ベトナムにおける関連法制度の昨今の同行、また、当時国の一端である日本の受入れに関する政策状況については、その政治的背景も含めて、おおよその整理がついている。また現地調査では、人材派遣業界を中心とする国際労働移動のメカニズムの一端を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本テーマは時事性が強く、政策動向も流動的であることから、引き続き現地や関係諸国における報道記事などを収集して情報の更新を続ける必要はある。例えば、当事国の一端である日本では、本研究に関係する法案が昨年から引き続き継続審議となっているものの、ベトナム政府はそれに先立って制度変更を進めており、今後とも注視したい。また、これまでの調査成果をもとに、学会報告および論文執筆について進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度末に実施したベトナム現地調査について、ホーチミン側では実施できたが、ベトナム政府の関係省庁とのスケジュールは先方の都合により調整ができず、ハノイでの調査をやむなく断念した。その際に準備していた旅費および現地でのアテンド通訳への謝金等により、未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していたハノイ調査については、2016年に予定している最終調査時に日数を延期し、現地でのヒアリングと研究成果に関する打ち合わせを充実させる。未使用額はこれらのための旅費・謝金等に充てる予定である。
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