本研究は、国際労働移動を規律する近年の政策・法制度の展開と、その国際関係や外交への影響について考証を試みたものである。具体的には、現代のアジアにおいて、越境労働が活発化している日本(受入国)やベトナム(送出国)を対象とした。越境労働は国際労働市場における需給ギャップに応答して生じる現象として理解されがちであるが、本研究は、国際労働移動を既存の法制度に制約されるつつも、現象それ自体が政策立案への重要なインプットになっているという双方向性のなかで位置づけ、同時に、国家および非国家主体の利害調整の帰結として捉えている。
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