平成28年度では2000年以降、動向が注目されているシェールガス革命を中心に米国の安全保障政策の変化と今後の国際情勢の展望について調査することを目的として、フランス、ロシア、アゼルバイジャンに出張した。フランスは、パリを訪れフランスを代表する石油企業TOTAL本社の資料室を訪れた。モスクワは世界的ガス企業、ガスプロム社、アゼルバイジャンは世界的石油産出地であるバクーを訪問した。 ブレマー氏が『「G0後」の世界』で言及してこなかった、シェールガス革命時代の米国の覇権について、順調なシェール開発で経済的にも強い米国が戻りつつある一方で、天然ガスの産出によって国際秩序に極めて大きな影響力を有するロシアもまた国際的な影響力を強めつつある。その動向を探るため、モスクワを訪問し社会経済を視察後、その影響圏である旧ソ連のアゼルバイジャンを訪れ、アゼルバイジャン外交大学の教員と意見交換した。また同国の社会と経済、また産業について調査した。また欧州の新エネルギー政策(太陽光等)について、フランスTOTALの石油エネルギーに関する歴史的取り組みと動向を調査し、太陽光など新エネルギーとの代替可能性を探った。 成果については、一橋大学および大学院での授業・ゼミに加えて非常勤で出講している青山学院大学文化政策学部の授業、また早稲田エクステンションセンターでの社会人講座「グローバルリスク化する中東の混迷」で教授する一方、「米中2極構造と地政学リスクへの対応」と題し、一般社団法人日本機械工業連合会等でも講演を行った。また、エコノミスト誌などにも「エコノミストレポート 「沸騰都市」バクーを行く 資源に群がる欧米VS中露の攻防激化 ユーラシアを制する者が覇権を握る」を寄稿した。
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