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2014 年度 実施状況報告書

東西緊張緩和を巡るNATOの対立とジョンソン政権

研究課題

研究課題/領域番号 26380212
研究機関広島市立大学

研究代表者

倉科 一希  広島市立大学, 国際学部, 准教授 (00404856)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードアメリカ / デタント / 国際関係史 / 同盟
研究実績の概要

平成26年度には、先行研究の分析および出版されている一次史料の検討に加え、ドイツにおける一次史料の調査と収集を行い、1960年代中葉から後半におけるアメリカと西ヨーロッパ諸国の関係について知見を深めた。
刊行されている一次史料およびドイツにおける史料調査によって、西ドイツ(当時)の政権与党内で外交政策に関するどのような議論が行われたかを明らかにすることができた。「大西洋派・親仏派」の対立として知られるこの論争から、米ソ対立を中心とする当時の国際情勢に対する西ドイツの不満と、新たな政策の必要性に関する認識が明らかになった。これらの感情は、西ドイツとアメリカの関係に重要な波紋を投げかけており、1960年代後半における東西の緊張緩和をもたらす重要な要因と考えられる。
また、先行研究の分析によって、1960年代中葉から後半におけるアメリカと西ヨーロッパ諸国の関係は、基本的に安定的なものであったという理解が依然として有力であることを確認できた。1966年初頭にフランスがNATO軍事機構からの脱退を発表したため、かえってアメリカとフランス以外の西ヨーロッパ諸国が結束を強めたという理解である。たしかに、当時のアメリカ政府が懸念したような、フランス脱退によるNATOの崩壊は生じなかった。西ヨーロッパ諸国にNATOの価値が浸透していたことを示す例といえるだろう。しかしこのことは、同じ時期に東西緊張緩和が進んだことを説明し切れていない。したがって本研究に期待される知見は、依然として独自性を有している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究目的の達成度が予定よりやや遅れている原因は、多忙のために2-3月に予定していたアメリカにおける史料調査を行うことができなかったためである。ジョンソン大統領図書館における史料調査で、アメリカ政府雅西ヨーロッパ情勢をどのように判断していたかを示す史料を収集する予定であったが、これが実現できなかった。
その一方、二次文献や刊行史料の検討については、時間的余裕ができたこともあって大幅に進み、上述したように本研究の妥当性を確認できた。27年度にはアメリカにおける史料調査を二回行う予定であり、現時点での遅れを取り戻すことが可能と期待できる。

今後の研究の推進方策

本研究の推進方策について、27年度はアメリカにおける史料調査を重点的に行う予定である。具体的には、ジョンソン大統領図書館および国立公文書館における史料調査によって、アメリカ政府が当時の西ヨーロッパ諸国との関係をどのように理解していたのか、その現状認識に基づいてアメリカ政府がどのような対ソ緊張緩和を描いたのかを明らかにする。
さらにその後、西ヨーロッパ諸国、とくに西ドイツがアメリカの政策をどのように評価したかを検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初は27年2-3月にアメリカのジョンソン大統領図書館における史料調査を予定していたが、他の業務との関係で、この時期の史料調査を断念せざるを得なかったため。

次年度使用額の使用計画

27年度9月に、ジョンソン大統領図書館において史料調査を実施する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 米欧関係とアメリカの核―核兵器共有とドイツ問題2015

    • 著者名/発表者名
      倉科一希
    • 雑誌名

      アメリカ史研究

      巻: 38 ページ: 3-21

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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