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2015 年度 実施状況報告書

東西緊張緩和を巡るNATOの対立とジョンソン政権

研究課題

研究課題/領域番号 26380212
研究機関広島市立大学

研究代表者

倉科 一希  広島市立大学, 国際学部, 准教授 (00404856)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードアメリカ / NATO
研究実績の概要

本年度は、アメリカの国立公文書館およびジョンソン大統領図書館における史料調査を実施した。これらの文書館は、当時のアメリカ政府の政策決定過程を明らかにするためには必要不可欠な史料を保存しており、本研究を進める上で決定的に重要である。
国立公文書館では国務省文書、とくに北大西洋条約機構(NATO)関連の文書を中心に閲覧し、本研究の主題であるハーメル報告をめぐる交渉の経緯およびこれが必要とされた背景について、アメリカ政府の認識を明らかにすることを目指した。ジョンソン大統領図書館では、大統領府とくに国家安全保障問題担当補佐官の文書を閲覧し、ジョンソン大統領および側近がNATOおよびヨーロッパの状況をどのように理解し、ハーメル報告をどのように位置づけていたのかを解明することを目指した。
今回の史料調査によって、ジョンソン政権がヨーロッパにおける複数の問題を関連づけて認識していたこと、ハーメル報告はNATOの結束を確認すると同時に、東西関係の改善を目指したアメリカ独自の政策と補完的に考えられていた可能性があることがわかった。とくに重要なのは、フランスのNATO軍事機構脱退が契機になったNATO危機の影響である。とくに大統領府では、包括的な対策によってNATOの動揺を抑えようとしていた様子が確認されており、ハーメル報告はアメリカが採用したさまざまな政策、必ずしもNATOおよびヨーロッパと直接関係しない政策との関連で理解されていた可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2015年度の調査によって、アメリカにおける史料調査は大きく進展した。とくに国立公文書館の国務省史料NATO関連の文書、およびジョンソン大統領図書館のBator補佐官次席の史料を確認できたことは、本研究を進める上でもっとも重要な史料が確保できたことを意味する。依然として確認が必要な史料は残っているものの、その所在を限定することができたため、2016年度にアメリカで必要な史料調査は限定的になることが期待される。

今後の研究の推進方策

2016年度は、ドイツおよびイギリスにおける史料調査が中心となる。これらの調査は、アメリカ外交史を超えた多角的な視点からヨーロッパの同盟関係と冷戦の交錯を明らかにするためには、必要不可欠である。ドイツでは外務省政治文書館、イギリスでは国立公文書館における史料調査を予定している。
また、これまでに得たアメリカの史料を確認する中で、さらに必要性が明らかになった文書を確認するため、短期間ではあるがアメリカにおける史料調査が必要である。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に最終年度を向かえる予定であった共同研究2件があり、そちらの研究を優先する必要があったため、海外史料調査の日程を当初の計画から変更した。とくに当初予定していたドイツ・外務省文書館での史料調査を実施できなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。

次年度使用額の使用計画

本年度は全ての共同研究が終了しており、本研究課題に専念する予定である。具体的には、ドイツ、イギリスおよびアメリカにおける史料調査を実施する。アメリカについては、これまで収集できなかった史料の収集が中心になるため、短期間ではあるがワシントンとテキサス州オースティンの双方を訪問する予定であり、通常より多額の交通費が必要となる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 米欧関係とアメリカの核―核兵器共有とドイツ問題2015

    • 著者名/発表者名
      倉科一希
    • 雑誌名

      アメリカ史研究

      巻: 38 ページ: 3-21

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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