研究課題/領域番号 |
26380214
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
新垣 修 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (30341663)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 無国籍 / 無国籍者 / 国籍の剥奪 / 国籍の安全保障化 / 無国籍者の地位に関する条約 / 無国籍削減条約 |
研究実績の概要 |
まず第1に、平成27年度も前年度から継続し、新たに出版・公開された関連資料を収集するとともに、レビューと分析を行った。近年、本研究課題は国際的に注視されているところであり、重要な学術論文や博士論文が次々と公表されており、不断なくフォローするよう心がけた。 第2に、代表者が中心的に活動する無国籍研究会と代表者の所属機関である国際基督教大学の共催により、また国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所後援の下、国際シンポジウム「無国籍者とノン・シティズン:ラトヴィアとの対話」を開催した。この国際会議では、ラトヴィア共和国より研究者と最高裁判所裁判官を招聘し、同国における無国籍などの課題について知見を共有する機会を得た。 第3に、英国で資料収集と聞取り調査を実施し、無国籍者への政府の取り組みや国際機構との協力の実態について学んだ。また、オックスフォード大学の研究者とも意見交換を行った。英国では国籍の剥奪が問題視されており、無国籍条約運用の実体を学び、国籍・無国籍が安全保障上の課題であることを認識した。その後、スイス・ジュネーブのUNHCR本部の無国籍問題を扱う部署を訪ね、担当者に聞き取りを行い、レジーム形成の歴史と政策実施の現状について学ぶことができた。 第4に、研究会において学術報告を2度行い、論文を1件発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に引き続き規範的な側面の分析が予想以上に順調に進み、研究会報告と論文の発表で学術的フィードバックを得ている。他方、安全保障の兼ね合いで新たな動向を発見し、この側面についての検討を継続する必要性を感じている。 博士学位論文やポリシーペーパー等については、入手困難な場面もあった。しかし、欧州の大学や国連機関の助力をいただくことでこの問題を解決できた。 以上から、研究の達成状況は全般的に良好といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は最終年度であり、これまでの研究を総括するとともに、得られた全てのデータと立論を総合的に再検証する。 これまでの成果を日本平和学会秋季研究集会で報告し、学会員からのフィードバックを得る。また、無国籍研究会でも成果の最終報告を行う予定である。 研究成果の外部発信の機会として、セミナーを開催したい。所属大学でUNHCR事務所などの助力を得ながらセミナーを実施したい。 研究を総括し、報告書を完成させ、公刊する。報告書は研究者のみならず、社会での研究利用の一助となるよう実務家にも配布したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
数百円のため無理に使用せず次年度へ繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は研究推進方策にそって使用予定である。
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