無国籍と難民レジームとの関係は、戦間期以降の歴史によって定義された。現在のところ、無国籍を排他的に扱う単独の国際レジームの出現は確認できず、このイシューは難民レジームの中で処理されている。このレジームの形成過程と無国籍関連規範の諸国の実行状況からすると、国籍・無国籍が人権のみならず、国益や安全保障の観点から重視されていることが分かる。 特に近年、国籍剥奪の現象が顕著になっているが、国籍・無国籍における国家の安全保障観がこの後景にある。そして、難民レジームはこの歯止めとはなっていない。脱-安全保障化の可能性を探るには、脅威対抗措置の有効性、脅威対抗措置の正統性の立場から批判的に検討すべきである。
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