現代日本のアジア外交について、基礎文献を収集して分析した。とりわけ、外務省外交史料館で新規公開された外務省記録については、系統的に分析するように努めた。 それと並行しながら、情報公開法によって関連する文書を開示した。その一部は入力しており、田中首相・スハルト大統領会談録──1974年1月15日」(『外交史料館報』第28号、2014年12月、59-70頁)、「中曽根康弘首相・全斗煥大統領会談録──1983年1月」(『中央大学論集』第36号、2015年2月、51-58頁)などのように公表したものもある。 政治家や官僚、秘書らに対して、インタビューを行った。そのインタビューを活用しながら、『大平正芳 理念と外交』(岩波書店、2014年4月)を刊行した。大平は、現代日本の代表的な政治家であり、環太平洋連帯構想、総合安全保障などのように、21世紀につながるような構想を描いた数少ない政治家の1人である。また、中国通へのインタビューも行った。 日中、日韓関係において阻害要因となりがちな歴史認識についても、政府文書やメディアの論評を収集した。その成果は、『外交ドキュメント 歴史認識』(岩波新書、2015年1月)として刊行した。 いわゆる歴史問題の淵源となった近代史については、「日本の大陸拡張政策と中国国民革命運動」(北岡伸一・歩平編『「日中歴史共同研究」報告書 第2巻 近現代史篇』勉誠出版、2014年10月、163-195頁)、「〈書評〉種稲秀司著『近代日本外交と「死活的利益」──第2次幣原外交と太平洋戦争への序曲』」(『国史学』第214号、2014年11月、117-125頁)、「政党内閣、宮中とワシントン体制」(小河原宏幸ほか『岩波講座 日本歴史 第17巻 近現代3』岩波書店、2014年12月、141-172頁)を公表した。
|