本研究は、東アジアの地域制度において政治・安全保障関係を規律する国際ルールが形成される仕組みを解明することで、地域秩序を展望することを目的とした。研究の結果、それらのルールの性質とは、リベラル規範支持国と非リベラル規範支持国の間のバーゲニングによる妥協の産物、いわば双方が投射する規範の最小公倍数的な融合物であり、先行研究が示すような米国が標榜するリベラル規範に地域諸国が社会化されて生まれたものではないことが明らかになった。つまりこの地域には、実効性が欠如したルールによって構成されたいわば形骸化したリベルラル国際秩序が発展しつつあるといえる。研究成果は、国内外の学会や学術誌、学術書で発表された。
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