研究では、特に、以下3点の知見が得られた。①グローバルな規範形成については、1983年のアルゼンチンの体制移行期における真実と正義を求める取り組みの数年後、東欧諸国やアジアの諸国、南アフリカの民主化を受け、グローバルな規模で移行期正義についての議論や実践が進められた。②アルゼンチンやチリの事例が示唆するように、過去の人権侵害に対する真実と正義の追及の動きは、必ずしも直線的ではなく国内の政治状況や国際環境の影響を受ける。③ラテンアメリカをはじめグローバル規模で過去の人権侵害を記憶する公共空間やミュージアム、モニュメントの建立・創設の動きが見られ、その活動内容や活動主体は国々によって多様である。
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