研究課題/領域番号 |
26380229
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
鈴木 宏尚 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (80415926)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 国際関係史 / 日本政治外交史 / 国際関係論 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、以下の三点を中心に研究を進めた。 第一に国内の図書館や文書館における資料調査である。国内資料調査については、いくつかの大学図書館、国立国会図書館、外務省外交史料館等において、GATT(貿易と関税に関する一般協定)を含む戦後日本の貿易政策や日本と英国その他西欧諸国との外交・通商関係について、外務省外交記録、雑誌記事・論文、政治家や外交官及び通産官僚、財界人等の回顧録やオーラルヒストリー等を収集した。加えて、関連分野である日本の国内政治や経済政策、アメリカ外交、イギリス外交、欧州統合・欧州国際関係、国際経済史、国際政治理論等に関する、洋書を含めた文献の収集も行った。 第二に、海外資料調査を行った。英国国立公文書館にて1950年代のGATTと日英通商関係に関するイギリス外務省の文書及びイギリス商務省の文書を収集した。GATTに関しては日本の加入に対する英国の見方、日英通商関係に関しては日英貿易協定交渉についての文書を収集した。 第三に、高度経済成長が日本の外交・内政にいかなる影響を与えていたのかという問題意識のももと、池田勇人政権の外交と内政における「経済」の再検討を行なった。その考察の結果を、日本政治学会2017年度研究大会分科会D-2「戦後日本外交における国内政治基盤」において「池田政権と高度成長」と題して報告した。同報告において、高度経済成長がむしろ池田の自民党内の地位を動揺させ、それを池田が外交的成功によって回復させていたこと、及び外交において成長によって得た経済力が必ずしも直接的にはパワーとして用いられていなかったことを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までの進捗状況がやや遅れている理由は以下の二つである。 第一に、研究を進めていく過程で、当該研究課題である日英経済関係のみならず、第二次世界大戦後の国際経済秩序の成立や日本の国内政治と外交の関連といった、研究課題の周囲まで視野を広げる必要が出てきたためである。 第二に、これまで収集した国内外の外交文書、回顧録、雑誌記事、論文等の資料の量が膨大であり、その収集と分析に予想以上に時間がかかっているためである。とくに海外の公文書館で収集した資料の整理、分析に時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、これまで収集した一次資料及び二次資料の分析に基づく論文作成が主軸となる。まずは1955年の日本のGATT加入から1962年の日英通商航海条約締結までの日英外交・経済関係についての論文をまとめる。さらにそれを踏まえて、最終的には第二次世界大戦後の国際経済秩序、日本の外交と内政、日英経済関係を結びつけ本研究を総括したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、29年度中に二度の海外資料調査を予定していたが、他業務との関係で十分な時間をとることができず、一度しか実施できなかったことが挙げられる。 使用計画としては国内及び海外の図書館や公文書館において資料調査を行うことを計画している。
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