研究課題
主な成果と概要は以下に述べる通りである.まず英文の書籍として,Springer社から2015年(平成27年)にKeynesian Economics: Re-orientation of a Theory of Monetary Economyという本(以下著書I)を上梓した.この本の概要は,平成23から25年の科研費「貨幣と雇用の基礎理論」で開発した貨幣理論をさらに彫琢し,かつ国際金融理論に応用したものである.一例を挙げる.マンデルを嚆矢とする最適通貨圏は,従来ミクロ的基礎に欠ける議論であった.われわれの研究では当該理論を動学的な最適化理論として再定式化することに成功した.労働は国際間を移動できないが,資本は自由に行き来できる二国経済を考える.このとき,この二つの国の政府が,統一通貨を採用しないで,自らの利己的な金融政策を追求した時,次のような望ましくない帰結を生む.すなわち,自国の雇用を増加させるために資本を誘致しようとする結果,国際的な利上げ競争が発生する.この競争は賃金が最低水準に落ち込むまで続くことになる.ここで資本家がこの二国以外に住んでいるとすれば,この両国の経済厚生は利上げ競争によって,最低水準まで落ち込む.したがってこの両国は中央銀行を統一して共通通貨の使用が望ましい.これが著書Iで新たに開発された最適通貨圏の理論である.第二の成果は,Routledge社から2015年(平成27年)にThe Origin of the Prolonged Economic Stagnation in Contemporary Japan: The factitious deflation and meltdown of the Japanese Firmという本を上梓した(以下著書II).著書IIでは,現代日本経済を(i)デフレ基調のもとでの金融政策と(ii)日本の東アジアに向けた対外直接投資のもたらす問題について,政治経済学的な分析を行った.著書IIの特徴は貨幣数量説では起きえない,異次元金融政策とデフレ基調が同時に起きることが説明できたことである.
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