研究課題
フォーク定理の成否や均衡利得の分析にやや過度に集中してきた繰り返しゲームの理論の流れとは一線を画した研究プログラムを提示し、繰り返しゲームの理論的研究を更に発展させるという本研究の目的に照らして、以下のような研究成果を得た。1.補助事業期間を延長した理由である、操業に必要な固定費用を払うかどうかを各期選択し、また費用関数が自社の私的情報となる不完備情報の動学的価格競争モデルの分析を行った。割引因子次第で総利潤最大化を達成するカルテル的均衡が存在する必要十分条件を明らかにし、均衡構築の手法も提示した。カルテル阻止に関わる政策的含意として、固定費用の存在がカルテル維持の障壁になるとは限らないことと、カルテル維持に必要な企業間のコミュニケーション方法を特徴付けたことが挙げられる。2.平成28年度に行った、計算科学的手法による不完全私的観測モデルの均衡解析の結果を拡張した。当時は囚人のジレンマ構造をした2プレーヤーによるチーム生産モデルのみを検討していたが、これを3プレーヤーによる三角貿易構造をしたモデルおよびその一般的プレーヤー数への拡張を含む環境に一般化した。3.これまで行ってきた、多市場接触のカルテル促進効果に関する不完全公的観測モデルおよび不完全私的観測モデルの研究について、それぞれ投稿可能な学術論文としてほぼ完成させた。どちらの研究も、多市場接触のカルテル促進効果を明らかにしている。4.これまで行ってきた、再帰的効用を持つプレーヤーによる繰り返しゲームモデルの研究について、投稿可能な学術論文としてほぼ完成させた。
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Proceedings of the 21st International Conference on Principles and Practice of Multi-Agent Systems (PRIMA-18)
巻: 1 ページ: 242-257
10.1007/978-3-030-03098-8_15