研究実績の概要 |
4年間にわたる本研究プロジェクトの研究計画に基づき、次のような研究を行った。 1.ナイト流不確実性の下での信念の更新(belief updating)について、動学的整合性(dynamic consistency)および帰結主義(consequentialism)を踏まえて、Dempster-Shafer updating, Naive Bayes updating, Fagin-Halpern updatingの公理化の研究を進展させ、国際的学術誌に投稿した。改訂要求を経て、論文を再投稿した。プロジェクト期間中に国際的学術誌に掲載させることはできなかったが、本研究は、京都大学経済研究所ディスカッションペーパーシリーズ、No.987として公表した。 2.信念の更新に関する別の公理化論文についても研究を進めた。研究プロジェクトが終了する平成29年度中には国際的学術誌への投稿は叶わなかったが、本研究プロジェクトが終了して以降、平成30年度中には完成させ、国際的学術誌に投稿する予定である。 3.国内外の研究者とのディスカッションを通じて、研究成果の検証に努めた。 4.滑らかな曖昧性モデル(smooth ambiguity)において、曖昧性が意思決定者の最適投資行動にどのような影響を与えるかに関して分析を行った。risky assetとambiguous assetの二つの資産への投資選択問題において、曖昧性の存在が、ambiguous assetへの投資を減少させる十分条件を導出した。さらに、本研究によって、国際分散投資の問題において重要なパズルである、ホームバイアスパズルを部分的にであるが解消できることを示した。
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