研究課題/領域番号 |
26380243
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
影山 純二 明海大学, 経済学部, 准教授 (50337490)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 幸福度 / 生活史理論 / 生物経済学 / 効用 / 選好 / 年齢依存性 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
研究実施計画に従い研究を進めた結果、下記の成果を得た。 1,「幸福度と生活史特性の関係」という観点から、"Life Dissatisfaction Over the Life History: Dissatisfaction as a Driver of Behavior" と "The Financial Burden of Having Children and Fertility Differentials Across Development Stages: Evidence from Satisfaction Data (共著)" という2本の論文を仕上げ、国際雑誌へ投稿した (現在査読中)。また両論文とも2014年秋にベルリンにて行われた International Society for Quality-of-Life Studies (ISQOLS) 学会にて報告し、前者の論文はさらに2015年春にサンディエゴで行われた Population Association of America (PAA) 学会にて報告し、貴重なコメントを得た。 2, 幸福度研究と生活史理論の理論フレームの整合性を合わせるという面から、"Biological and Economic Approaches Towards Behavior Along the Life Course (共著)" を仕上げ、処方面よりコメントを得ることができた。近日中に出版へ向け、より詳細に詰めていく予定である。 3, 上記2つの研究の結果、理論的にも実証的にも、選好が年齢に依存していることが有望なテーマであることが確認された。そのため、選好の年齢依存性に関する研究に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に合致する形で研究を進めることができた。特に研究の初年度において国際学会で報告し得る成果を2つ出し、投稿に至ることができたのは、予想以上である。また、幸福度研究を生活史理論の理論フレームワークで分析する基盤を固めるという点でも、そこで研究すべきテーマが見えてきた。これらの点を鑑みると、本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね研究実施計画にある通り研究を推進していく予定である。特に平成27年度に注力する点は下記の通りである。 1, 初年度に論文化した3つの研究を完成させ、国際雑誌にて出版するとともに、国際学会にて報告する。 2, 初年度に Life History Theory と Life Cycle Theory の整合性を考察し始めた結果、選好の年齢依存性が大きなテーマとして浮き上がってきた。また経済学においてはこの点が軽視されていることがわかってきた。そのため、選好の年齢依存性を示す研究を重ねると共に、経済学において選好の年齢依存性をどう導入すべきか具体的な考察を始める。 3, 幸福度と出生率・教育の関係という観点から行っている研究を出版する。 4, 生活史理論を研究する中で、人間行動と選好の関係を説明するアイデアをいくつか得ているので、そららのうち有望なものを選び考察を始める。この点に関しては、とくに出版を焦らず、将来大きく育ち得る種を見つけられればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、カリフォルニア大学バークレー校人口学部に所属するLee教授とともに生活史理論を研究する時間を確保することができた。そのためその研究を優先し、日本国内外の学会発表は最低限のものに絞り報告数を控えた。また論文化という意味でも、時間の有効配分という観点から、完成させる論文数を絞った。次年度以降、学会発表や論文化をより本格化させる予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
変更分については、(1) 隔年から毎年開催に変更されたISQOLS学会の学会発表費用、(2) 論文化する際の校正費用、(3) "Biological and Economic Approaches Towards Behavior Along the Life Course" を仕上げるため、共著者である Vienna Institute of Demography の Kuhn 博士との研究打ち合わせ費用として使用する予定である。
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