本研究は、生物経済学と幸福度研究の補完性を生かして、効用・選好 (より広義には人間本性) を実証的に導出することを目指したものである。特に生物経済学によって得られた選好についての理論的仮説を幸福度研究を利用して検証することを目指した。 この研究の結果得られた主な結果は下記の通りである。(1) 効用関数は年齢によって変化する。特に消費や所得の効用や幸福度に対する追加的効果は成年期に最も大きくなる。(2) 子どもを持つことの純粋な効果は幸福度研究が示すように負であるとは限らない。この結果は進化論に基づいた考え方と整合的である。これらの結果は、本研究のアプローチの有用性を示している。
|