研究課題
曖昧な提携をともなうプレイヤーの協力関係をファジィ協力ゲームを用いて分析し、協力ゲームの解を市場メカニズムによって実現する方法とその限界を明らかにするとともに、集団的意思決定に関する様々な具体的問題を定性的・定量的に考察する。次の三点を踏まえて分析を進めてきた。(1)与えられた協力ゲームのファジィ拡張になるようなファジィ協力ゲームはいくらでも存在し、逆に同一の協力ゲームを誘導するファジィ協力ゲームもいくらでもある。つまり、ゲームのファジィ化・非ファジィ化の方法は一意ではない。(2) ファジィ協力ゲームのコアは協力ゲームのコアに含まれるため、ファジィ・コアはコアの情報の一部を喪失してしまう。これはファジィ結託を形成すると阻害されるような協力ゲームのコア利得ベクトルが存在することを意味し、協力ゲームのコアをもっともらしいゲームの解と見なすことはできない。すなわち、伝統的な協力ゲームのコアはゲームをファジィ化できないときにのみ、解概念として意味がある。(3)コアが存在しない場合、どのような解概念とファジィ拡張を導入し分析を行うべきか。上記の研究計画の下、Choquet積分に代わる協力ゲームのファジィ拡張として、精緻汎関数による拡張を定式化し、精緻ゲームに関しては最小精緻拡張のファジィ・コアが通常のコアに一致することを示した。コアが存在しない協力ゲームに対しては、解概念としてはWeber集合、ファジィ拡張としてはLovasz拡張の導入を提唱し、非線形解析の手法を駆使してファジィWeber 集合と通常のWeber 集合が一致する必要十分条件を導出した。
2: おおむね順調に進展している
5本の学術論文を国際雑誌に投稿し、すべて掲載が確定している(3本が掲載済み、2本が印刷中で来年度の研究実績として報告予定)。また、3本の論文要旨が学会議事録に掲載された。研究成果の公刊という目標は十分に達成されたと判断できる。
現在、連携研究者、研究協力者を含めた共同研究者達と7本の論文を執筆しており、そのうち1本は国際雑誌に査読中で今年度中の公刊を目指す。残りの6本の論文についても、完成の目途は付いており、すべて今年度中に国際雑誌に投稿する予定である。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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