最終年度である今年度も研究分担者と協力して実験研究を継続した。本年度中に7回(6月1回、7月1回、9月3回、10月2回)の実験を行い、有用な追加データを得た。さらにその結果の分析を継続して行っている。研究代表者、研究分担者はそれぞれ研究の途中経過および、いくつかの研究成果を、台湾(2月)、シンガポール(5月)、韓国(8月)、京都(10月)での国際学会、ワークショップにおいて報告および議論をし、有益なコメントを得た。これらのコメントを反映し下記のように論文を作成している。 本研究の研究成果として今までに得られた知見の要約としては、社会的効用を含めた個人の認識による誘因と単純な金銭的誘因による意思決定への影響が、ゲーム構造によって大きく異なることである。また、その影響も個人により異なっている。相手のもつ誘因に対する予想や判断に関しては現在、分析が継続中である。これらの研究成果を基に、実験論文を2編まとめている。そのうち1つは査読付き国際学術誌に投稿中である。他の一つは論文作成中であるが、その一部がmimeoとしてまとめられている。 理論研究については、基本的に研究代表者が行っているが、これらの成果を協力ゲーム理論における利得分配の認識およびそれを明確にするための実験を行うための基礎研究と位置づけて考察を進めている。このような基礎研究として研究期間中に5編以上の協力ゲームの理論論文を査読付き国際学術誌に出版あるいは出版決定した。 以上の研究は新しい研究成果として、国際学会などで多くの研究者に興味をもたれた。これらの成果は、協力ゲームにおける利得分配の個人的な評価や認識の理論研究や実験研究につなげられ、2017年度以降に展開する予定である。なお、その研究に対する科学研究費による補助も決定されている。
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